甘味
あんびん
Anbin
さつまいも粉と小麦粉を熱湯でこね、あんを包んで叩いて平らにし蒸す峡南地域の菓子。あんを叩き入れる仕草が名前の由来とされ、廃校を機に地元が復活させた市川三郷町六郷の伝統食と伝わる。
- 発祥: 山梨県市川三郷町
- 東京から西へ約120km
山梨県市川三郷町
系譜
あんびんうすやき
何でできているか
さつまいも粉と小麦粉を熱湯でこねた生地に、あんをたっぷり包んで手で叩き平らにし、じっくり蒸し上げる。冷めてもなおずっしりと歯ごたえがあり、噛むほどに生地の素朴な甘みとあんの風味がじんわり広がるのが持ち味とされる。あんを叩き入れる仕草が「あんびん」という名の由来とも伝わり、素朴な菓子として親しまれている。
どう作るのか
さいの目に切って水にさらしたさつまいもと、さつまいも粉、小麦粉、塩を合わせ、熱湯を加えて耳たぶほどの柔らかさによく練る。丸めた生地にあんをたっぷり入れ、手のひらで強く叩きながら平らに形を整えて蒸し器で15分ほど蒸すとされる。とうもろこしの粉を使うと黄色く、さつまいも粉だと黒っぽく仕上がるとされている。
なぜこの形になったのか
米づくりに不向きな土地で、さつまいもやとうもろこし、小麦などを中心とした粉物の食文化が育まれてきたと伝わる。重曹などの膨張剤を使わずにずっしりとした食感に仕上げる製法は、腹持ちの良さを重んじた昔ながらの知恵とみられる。一度は廃れかけたものの、地元の人々の手によって伝統の味として大切に受け継がれてきたという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ山梨県
- あけぼの大豆の枝豆通常の1.6倍という大粒の「あけぼの大豆」を塩ゆでにする身延町曙地域の枝豆。明治から続く在来種だが機械化になじまず生産者の高齢化で希少となり、「幻の大豆」とも呼ばれてきたと伝わる。
- 甘納豆のお赤飯ささげや小豆を使わず、食紅で赤く色づけたもち米に甘納豆を混ぜ込む山梨の赤飯。ごま塩をかけると甘じょっぱく、祝いの席に欠かせないとされる。同様の甘い赤飯は遠く離れた北海道や東北の一部にもあると伝わる。
- あわびの煮貝駿河湾でとれたアワビを醤油に漬けて樽で運び、馬の体温に揺られるうちに味がしみ込んだという甲州の名産。薄切りにして肝と盛り合わせ、しそやきゅうりを添えて食べると伝わる、海のない山梨に残る海の幸。
- 小豆ほうとう太めに切ったほうとう麺を、餅の代わりに小豆の汁粉に入れて煮る山梨の行事食。北杜市須玉町若神子の三輪神社の夏祭りは「ほうとう祭り」と呼ばれるほどで、赤い小豆の色が厄除けになるとされる。
- 平打ちタンメン山梨県甲府市発祥とされる、幅広の平打ち麺を使った塩味のタンメン。もやしや豚肉、白菜などの野菜がたっぷりのり、フェットチーネのような麺の食感が持ち味とされる。県内の複数の店に受け継がれている。
- ほうとう中国の麺料理「餺飩(はくたく)」が奈良・平安期に伝わったとする説が有力で、その音が転じて「ほうとう」になったとされる。戦国期には武田信玄が陣中食として重用し「武田汁」とも呼ばれたと伝わるが、発生地や時期を断定できる定説はない。生麺と季節の野菜を味噌仕立てで煮込む。