惣菜
いたどりの煮もの
Itadori no Nimono
アクと酸味の強い山菜、いたどりの皮をむいて水にさらしてから炒め煮にする吉野山間部の料理。「痛取り」の名は傷にすりこむと痛みが和らぐという言い伝えに由来するとされ、塩漬けにして長く保存もできる。
- 発祥: 奈良県
- 東京から西へ約380km
何でできているか
春に採れる山菜のいたどりを使った煮物で、吉野の山間部を中心に奈良県全域に伝わる。アクと酸味の強い若芽を丁寧にアク抜きすることで、独特の風味とやわらかな歯ごたえを楽しめる、素朴な山の味わいとなっている。吉野の山間部では特によく食されてきたという。独特の酸味と香りが、山菜好きの人々に古くから親しまれてきたという。
どう作るのか
沸かした湯にいたどりを数秒浸け、熱いうちに皮をむいて水にさらし、一晩置いてアクを抜いてから料理に使う。炒め物や煮物、揚げ物のほか、炊き込みご飯にする地域もあるという。アク抜きをしたいたどりは冷蔵庫で1週間、樽で塩漬けにすればさらに長く保存できるという。炒め物にすると、いたどり特有の香りがより引き立つという。
なぜこの形になったのか
いたどりは「ごんぱち」や「すかんぽ」とも呼ばれ、下北山村では古くから好んで食べられてきたと村史に記されているという。名の由来は、けがをした際に患部にすりこむと痛みが和らぐことから「痛取り」と呼ばれるようになったと伝わる。茎が固くなる前の四月半ばから五月初めの新芽の時期に採取し、塩漬けにして保存されてきた。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ奈良県
- 飛鳥鍋鶏肉と季節の野菜を牛乳とだし汁で煮込む明日香村の鍋。飛鳥時代に唐からもたらされた乳製品が宮中に伝わり、後に飼っていた鶏の肉を牛乳で煮た精進料理が起源とされ、昭和初期に今の形になったという。
- 鮎寿司吉野川流域で作られる、アユを姿のまま酢飯にのせて押した寿司。川の石の藻を食べて育つアユは「香魚」と呼ばれ、歌舞伎の演目に登場する鮨屋が奈良に実在したことから知られるようになったとされる。
- でんがら餡を包んだ餅を朴の葉でくるんで蒸す東吉野村・川上村の菓子。男の子の立身出世や無事な成長を願う端午の節句に作られ、一本の枝から出た葉ひとつひとつに餅を包むため、房のような形になるという。
- エイの煮こごり赤エイを醤油と砂糖で甘辛く煮つけた奈良の料理。ゼラチン質が煮汁に溶け出し、冷めるとゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる。春日大社若宮のおん祭では、のっぺいと共に食べられてきたとされる。
- 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅夏至から十一日目の「半夏生」の頃、つぶし小麦ともち米をついて作る奈良盆地の餅。小麦の収穫と田植えが一段落する節目に作られ、田の神を送る早苗饗の行事に合わせて食べることから「さなぶり餅」とも呼ばれる。