惣菜
えび大根
Ebi Daikon
笹を束ねて岸辺に沈め、寒さを避けて集まる川エビをすくい獲る漁でとれたエビと大根を、とろけるほど柔らかく煮た冬の料理。赤いエビと白い大根の対比から、祝いの水神祭にも供された。
- 発祥: 栃木県小山市
- 東京から北へ約70km
栃木県小山市
何でできているか
冬に川でとれる小さな川エビと、旬を迎えただいこんをとろけるほどやわらかく煮付けた料理とされる。炊くと赤く色づくエビと、だいこんの白い色合いが縁起物として好まれ、水神祭など人が集まる祝いの席に添えられてきた、栃木県南部ならではの冬の一皿とされる。つくり手の工夫が加わりながら、いまに引き継がれている一品とされる。
どう作るのか
皮をむいただいこんを2cmほどの輪切りか半月切りにし、米のとぎ汁でさっと下ゆでする。鍋にだいこんと川エビ、水、砂糖、酒、しょうゆを入れ、だいこんがやわらかくなるまで弱火でゆっくり煮含める。川エビが手に入らない場合は、素干しの桜エビで代用してもよい。土地の恵みを無駄にしない、暮らしの知恵が息づく料理とされる。
なぜこの形になったのか
川岸の草が枯れる冬、寒さをしのぐ場所を失ったエビが、岸に束ねて沈めた笹に身を寄せる習性を利用して漁がおこなわれてきたことから、この時期ならではの食材として親しまれてきたとされる。舟の安全や川の穏やかさを祈る水神祭の膳にも用いられ、祝いの一品として受け継がれている。年月を経てもなお、変わらず食卓に上る郷土の味とされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
使われる
同じ栃木県
- 揚げまき湯波の煮物生ゆばを重ねて棒状に巻き、輪切りにして油で揚げた「揚げまき湯波」を、薄味でじっくり煮た日光の郷土料理。表面が波打つ日光ゆばの技法を生かし、正月や祝いの席にも欠かせない。
- あいその甘露煮那珂川や鬼怒川で春の産卵期に群れるウグイを、あいそと呼び、弱火で長時間かけて骨まで柔らかく甘露煮にする。冷蔵庫が普及する前、川魚が貴重なたんぱく源だった内陸県の料理。
- 鮎めし那珂川など鮎の獲れる川筋で、素焼きにした鮎を米と一緒に炊き込む混ぜごはん。祭りや農作業の休みなど特別な日につくられ、余った鮎は串に刺して囲炉裏端に吊るし保存したという。
- 板台餅/ばんだい餅日光市栗山地区に伝わる、うるち米を硬めに炊いてつく餅。山小屋の板の上で斧の峰などで叩いてついたことから「板台餅」と呼ばれ、味噌だれやあんこ、じゅうねなど地域ごとの食べ方が残る。
- ばっとう汁・だんご汁(すいとん)季節の野菜を煮た味噌汁に、練った小麦粉を手でちぎり入れただんご汁。地域によって「はっとう汁」「だんご汁」と呼び名が変わり、米が足りない時の日常食として親しまれてきた。
- ちたけとなすの油炒め裂くと乳白色の汁が出るきのこ・ちたけを、なすとともに油で炒めた料理。里山の管理とともに8月ごろだけとれる希少なきのこで、うどんやそばのだしにも使われる栃木ならではの味覚。