揚げもの ── 揚げ物
シャクの天ぷら
Shaku no Tempura
干潟の深い巣穴にすむシャク(アナジャコ)に衣をつけ、殻ごとからりと揚げた夏の珍味。鮮度落ちが早く熊本県外にはほとんど流通せず、身も殻も内臓も食べられ濃い味わいが特徴とされる。
- 発祥: 熊本県
- 東京から西へ約910km
何でできているか
干潟の巣穴に生息するシャク(アナジャコ)を、泥をよく洗ってから衣をつけてからりと揚げた天ぷらとなっている。身も殻も内臓もまるごと食べるため味が濃く独特の風味があり、地元ならではのごちそうとして親しまれているという。シャコと姿形は似ているがエビの仲間で、シャコとはまったく別の生き物とされる。噛むと殻のパリッとした食感の奥から、濃厚な身の風味が広がるという。
どう作るのか
潮が引いた干潟の巣穴に筆を入れ、外敵に反応して出てきたシャクを1匹ずつ捕らえる。泥をよく洗い落としたシャクに衣をつけ、そのまま丸ごと油でからりと揚げる。天つゆや塩でいただき、塩にはしそや青のり、山椒などをまぶす食べ方もあるという。生のシャクのえらと足を刻んですり鉢でする「シャク味噌」も、ごはんのお供や酒の肴として親しまれているとされる。
なぜこの形になったのか
シャクは鮮度落ちが早く陸で長く生きられないため、熊本県以外にはほとんど流通しないと伝わる。地元でしか味わえない食材だからこそ、天ぷらや塩ゆで、味噌など無駄なく食べ尽くす調理法が発達し、干潟という地形と密接に結びついた食文化として今に残っているとみられる。「シャク釣り」と呼ばれる巣穴に筆を入れて釣り出す独特の漁法も、この食材ならではの光景とされている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ熊本県
- 天草大王明治・大正期に天草で飼われた大型の肉用鶏が昭和初期に途絶えたのち、熊本県が約10年かけて復元したとされる。120〜150日齢で出荷され、日本最大級の地鶏という。
- がね揚げ拍子切りにしたさつまいもをしょうが入りの甘めの衣にくぐらせ、油で揚げた惣菜。天草の方言で「がね」はカニの意味で、揚げた形がカニの足に似ることから名付けられたという。精進料理としても使われる。
- 鯛そうめんタイの頭や中骨を煮た「あら炊き」の煮汁でそうめんを煮て食べる祝い料理。そうめんを使うのは特産地・島原の食文化の影響とされる。山都町馬見原では鯛を丸ごと姿煮にする「鯛めん」として伝わるという。
- たこ飯天日干しにした「干しダコ」を水でもどして刻み、ごぼうや人参と炊き込む、または後から混ぜるご飯。旨味が凝縮した干しダコを使うことが多く、天草市有明町の夏の風物詩とされる干しダコ干しの光景で知られる。
- 馬肉蕎麦熊本県阿蘇地域に伝わる、馬肉の甘辛いしぐれ煮を温かいそばにのせる料理という。馬肉文化が根づいた土地で、けが人や病人への薬膳料理として食べられてきた歴史を持つとされる。
- ぶたあえ茹でタコとなすを甘辛い麦味噌で炒め合わせた天草の家庭料理。かつて手に入りにくかった豚肉の代わりに、地元で獲れるマダコを使ったのが始まりとされ、名前だけ「豚和え」として残ったという。