揚げもの ── 揚げ物
せんざんき
Senzanki
若鶏を骨付きのまま一口大に切り、下味を漬けてから片栗粉をまぶして揚げる今治の唐揚げ。骨から出る旨味が味を深めるとされ、祝い事から弁当まであらゆる場面で食べられているという。
- 発祥: 愛媛県今治市
- 東京から西へ約640km
愛媛県今治市
何でできているか
骨つきのまま片栗粉をまとわせて揚げるので、皮はカラッと香ばしく、骨のまわりに旨味が凝縮している。若鶏の骨つき肉を醤油や酒、しょうが汁で下味をつけてから揚げる料理で、東予地方、なかでも今治市周辺で親しまれてきたという。鶏を骨ごと千のように斬ることから「千斬切」と呼ばれるようになったとも、から揚げを指す中国語がなまったともいわれ、名前の由来ははっきりしないとされる。
どう作るのか
若鶏の骨つき肉を一口大のぶつ切りにし、薄口醤油、酒、しょうが汁、こしょうを合わせた漬け汁に漬け込んでなじませる。揚げ油を中温に熱し、片栗粉をまぶして揚げる。骨を外さずそのまま揚げる点が、一般的なから揚げとの違いとされ、骨から出る旨味と漬け込んだ下味が加熱で一段としみ込み、カラッとした食感に仕上がるという。
なぜこの形になったのか
江戸時代、近見山のキジを揚げ物にしたのが始まりと伝わり、およそ300年前のこととされるが、詳しい史料は見つかっていないという。戦後まもなく今治地域で人気を集めた店をきっかけに広まったとも伝えられ、以来、祝いの席から子どもの運動会や日々の弁当まで、年間を通じてあらゆる場面で食べられるようになったとされる。鶏肉が用いられる以前はキジが主だったことが、名前の由来として語り継がれている。
食べに行く前に
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この土地の食材と料理
同じ愛媛県
- ぼて茶煮出した番茶を塩をつけた茶せんで泡立て、黒豆ご飯やたけのこなどの具を入れて食べる松山の一皿。倹約令の折に藩主の女房たちが工夫したと伝わり、花まつりでふるまわれる寺の名物でもある。
- えび天殻ごとすりつぶしたジャコエビを白身魚や豆腐と練り合わせ、油で揚げる東予の練り物。塩分を抑えて豆腐の甘みとエビの香りを立たせ、殻のジャリっとした歯ざわりが持ち味とされる。
- いぎす豆腐海藻のいぎすと生の大豆粉をだし汁で煮溶かし、寒天のように冷やし固める今治の料理。ひんやりとした食感で暑い盛りの食欲をそそり、エビなどの具を入れる家と入れない家で味わいが分かれるという。
- さつま焼いてほぐした白身魚を麦味噌とすり合わせ、骨でとった出汁でのばして熱い麦飯にかける南予の一杯。ぱさつきがちな麦飯を食べやすくする漁師の工夫と伝わり、地域や家庭で使う魚が違うという。
- 鯛そうめんタイを一尾丸ごと煮て、ゆでた素麺と大皿に盛り、煮汁をかけ汁にして食べる。素麺は七夕の織女に、タイは縁起物にちなむとされ、婚礼や還暦など祝いの席で親族に振る舞われてきたという。
- 鯛めしタイを丸ごと米と炊き込む東予の型と、生の切り身を卵と醤油だれに漬けて熱いご飯にのせる南予の型がある。縁起の良い魚とされ祝いの席でも食べられ、家庭ごとにどちらの食べ方が根付くかが分かれるという。