発酵・保存
黒酢
Kurozu
屋外に並べた壺の中で米・麹・水を仕込み、発酵と熟成を1年前後かけて行う米酢。鹿児島県霧島市福山町が発祥地とされ、良質な水と米、壺づくりに適した気候風土が揃ったことで生まれたとされる。
- 発祥: 鹿児島県霧島市
- 東京から南西へ約940km
鹿児島県霧島市
何でできているか
琥珀色から黒褐色まで熟成とともに濃くなる色合いと、まろやかな酸味の奥にある芳ばしい香りが特徴。米酢よりも旨味とコクが強く、飲む酢としてそのまま水や炭酸で割っても味が持つ。料理に使うと酸味だけでなく香ばしさも加わるため、黒酢あんかけのように味の輪郭をはっきりさせたい料理と相性がよいとされる。豚肉など脂の多い食材と合わせると、酸味が脂を切りながらコクを補う働きをするという。
どう作るのか
屋外に並べた壺の中で、蒸した米・米麹・水を仕込み、壺一つで糖化・発酵・酢酸発酵までを行う。上澄みが徐々に琥珀色から黒褐色へと変わっていく様子が見た目でわかり、発酵と熟成に1年前後をかける。日光と気温の変化にさらされながら壺の中でゆっくり進む発酵が、独特の香ばしさと深い色を生むとされる。密閉されたタンクではなく壺の口を開けたまま発酵させる点も、他の酢造りとは異なる特徴とされる。
なぜこの形になったのか
鹿児島県霧島市福山町が発祥地とされる。良質な水と米に加え、壺を屋外に並べて発酵させるのに適した温暖な気候と、台風などの風雨をしのげる立地が福山町にはそろっていたとされる。壺仕込みという独特の製法は、この土地の気候風土なしには成立しなかったと考えられている。壺畑と呼ばれる景観そのものが、この土地の発酵文化を象徴しているという。
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ鹿児島県
- 油ゾーメン豚肉とそうめんをだし汁ごと炒め、油と出汁を乳化させてまとわせる奄美地域の一皿。小麦を育てない奄美でそうめんが根づいた経緯は定かでないが、八月踊りなど人が集まる行事に欠かせない。
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚骨野菜大きく切った骨付き豚肉とツワブキ、大根、里芋の在来種コシャマンを大鍋で煮こむ、奄美地域の大晦日に欠かせない料理。別名ウァンフィネヤッセといい、島豚を余さず食べ尽くす知恵の一皿とされる。
- 豚汁豚肉と大根、里芋などを煮こむ味噌汁で、飼育頭数の多い鹿児島の豚と、麹が多く甘みの強い麦味噌を合わせてつくる。冬に体を温める一椀として、家庭でも給食でも広く親しまれている。
- 豚味噌ゆでた豚肉を味噌や砂糖と混ぜ合わせてつくる常備菜。奄美地域では落花生やカツオ節も加える。年に一度しめる島豚を余さず食べるため、保存のきく料理として塩漬けなどとともに生まれたと伝わる。