焼きもの ── 焼き鳥
室蘭やきとり
Muroran Yakitori
鶏ではなく豚肩ロースと玉ねぎの串。洋がらしを付けて食べるが、名前は「やきとり」のまま。
- 発祥: 北海道室蘭市
- 東京から北へ約750km
北海道室蘭市
系譜
何でできているか
豚肩ロースと玉ねぎを交互に刺した串焼きで、齧るとまず肩ロースの脂の甘みが広がり、そこへ洋がらしのツンとした刺激が追いかけてくる。甘辛いタレを何度もくぐらせて焼くので表面はてらてらと照りがあり香ばしく、玉ねぎは炭火でしんなり甘みを増す。それでいて「やきとり」を名乗りながら鶏は一切使わない。名前と中身のねじれこそが、この料理いちばんの個性になっている。
どう作るのか
一口大の肩ロースとくし切りの玉ねぎを、肉・玉ねぎ・肉・玉ねぎ・肉の順に串打ちする(両端は玉ねぎでなく肉で締める)。炭火で低温からじっくり焼き、仕上げに強火で炙って脂を落とす。醤油ベースの甘辛だれにくぐらせてもう一度炙り、皿には洋がらしを添えて出す。辛みを効かせるかどうかは、たれをつける箸加減次第だ。
なぜこの形になったのか
一説によると、日中戦争下の昭和10年代、軍靴の革をとるために養豚が奨励され、室蘭では豚の肉と皮以外は地元で消費してよいとされたのが始まりという。製鉄所が並ぶ輪西・母恋界隈では、屋台がその豚肉を串に刺して労働者に振る舞い、やがて鶏の串焼きと並ぶ「やきとり」として根づいたと伝わる。名前が変わらなかったのは、屋台にとって肉の種類より「やきとり」という業態の呼び方の方が先にあったからなのかもしれない。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ北海道
- 旭川ラーメン魚介と豚骨を合わせた醤油スープに、ラードで蓋をして冷めにくくする。厳寒の地ならではの工夫とされる。
- 旭川ホルメン旭川の二大名物、醤油ラーメンとホルモン焼きを掛け合わせたご当地グルメ。醤油だれのスープに、下処理して臭みを抜いた豚ホルモンをのせる。2010年代に旭川で考案された。
- ガタタンラーメン芦別市の郷土料理ガタタンをラーメンにした一杯。片栗粉でとろみをつけた塩味のスープに、野菜・肉・魚介など具だくさんの具を合わせ、仕上げに溶き卵を流し入れる。満州からの引き揚げ者が伝えた中華料理が土台にある。
- 美唄のとりめし鶏肉とたまねぎを米と一緒に醤油、砂糖、酒で炊き込むごはん。明治の開拓期、小作人に養鶏を勧めた農場主が、米が実った後に鶏をつぶして客をもてなしたのが始まりと伝わる美唄市中村地区の郷土料理。
- びらとり和牛日高地方・平取町で育つ黒毛和種。昭和37年に島根県から導入された繁殖牛を礎とし、冬の厳しい寒さの中でじっくりと肥育され、味の濃さに定評があるという。札幌をはじめ道内で広く親しまれる銘柄になったという。