ごはんもの ── 寿司
須古ずし
Suko-zushi
うるち米ともち米を合わせて炊き、ムツゴロウの蒲焼きなど有明海と里山の幸を重ねる佐賀県白石町の押し寿司。木箱「もろぶた」で四角く押し固め、来客をもてなす一皿として伝わる。
- 発祥: 佐賀県白石町
- 東京から西へ約920km
佐賀県白石町
系譜
須古ずし
何でできているか
うるち米にもち米を少量混ぜて炊いた飯を合わせ酢で仕立て、木箱「もろぶた」に詰める。ムツゴロウの蒲焼き、たけのこ、人参、椎茸、錦糸卵、かまぼこ、奈良漬、紅しょうがを彩りよくのせ、三つ葉を添えて仕上げる。もち米を混ぜた飯はうるち米だけより粘りが強く、押し固めても切り分けやすい。断面には錦糸卵の黄色とムツゴロウの飴色、紅しょうがの赤が並び、有明海の恵みがそのまま彩りになる。
どう作るのか
飯にうるち米ともち米、塩、合わせ酢を混ぜてもろぶたに詰める。四角く切り目を入れたのち、甘辛く煮たたけのこや椎茸、ごぼう、錦糸卵、ムツゴロウの蒲焼き、奈良漬をこんもりとのせ、三つ葉と紅しょうがで彩りを添える。押し固める工程を経ないまま盛る家もあるという。四角く切り分けた一切れずつが来客の膳にそのまま並ぶよう、あらかじめ人数分の見当をつけて仕込むという。
なぜこの形になったのか
白石町は有明海に面し、干拓を重ねて造成されてきた土地である。五百年ほど前、この地の領主が米の品質改良に力を入れ、「すし米」として全国に知られる評判を得たと伝わる。その米への感謝を込め、有明海の幸と里山の幸を組み合わせて作られたのが須古ずしの始まりとされ、干拓地という土地の成り立ちそのものが具材の顔ぶれに表れている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ佐賀県
- あらの姿煮10kgほどにもなるアラ(クエ)を丸ごと大鍋で1日がかりで煮込む。唐津くんちで留守を守る女性たちが客をもてなす「くんち料理」の目玉とされ、戦後、見栄えを競って始まったと伝わる。
- ふつもちつきたての餅にゆでたよもぎを練り込み、あんこを包む。全国で桃の節句に菱餅を供えるのに対し、佐賀ではこの「ふつ餅」を供える地域があり、春の訪れを告げるおやつでもあるという。
- 呉豆腐のごま醤油かけ豆乳に葛やでんぷんを加えて固める、有田町に伝わる独特の豆腐。にがりで固める通常の豆腐よりも柔らかくつやがあり、ごま醤油をかけて副菜に、黒蜜やきな粉でスイーツにもなるという。
- 干し柿なます千切りにしたダイコンと干し柿を、酢とゆずの搾り汁、醤油で和える。軒先に渋柿を吊るす「柿のれん」が秋の風物詩となる佐賀市大和町松梅地区で、正月のおせちに添えられるという。
- いかのかけ和えイカと大根、人参をすりごま入りの酢味噌で和える。魚介とダイコンを合わせるこの手の料理は各地にあるが、佐賀では「かけ和え」と呼び、秋祭りには脂ののったサバを使うこともあるという。