ごはんもの ── 寿司
太巻ずし
Futomaki Zushi
酢飯に卵焼きや干瓢、青菜、桜でんぶを組み合わせ、巻いて切ると華やかな絵柄が現れる太巻き。房総の農家で祭りや節句のたびにつくられ、断面の図柄を見せ合う楽しみが受け継がれてきたと伝わる。
- 発祥: 千葉県
- 東京から東へ約30km
何でできているか
すし飯を海苔で巻いた太巻き寿司で、切ると断面に花や渦などの絵柄が浮かぶよう工夫がこらされる。芯や周りには卵焼きやかんぴょう、青菜の漬物、桜でんぶなど色合いの違う具材を配置し、一本の中に幾つもの色を仕込む。地域によって巻き方や絵柄に違いがあり、「太巻き祭りずし」「房総巻き」など呼び名も一様ではない。祭りや祝い事の膳を彩る、見た目の華やかさが身上の一品とされる。
どう作るのか
すし飯を薄く広げた海苔の上に敷き、色や形の違う具材を計算して並べたうえで巻き込む。巻き上げる力加減や具の配置がそのまま断面の図柄になるため、経験と勘が要る作業とされる。太い巻きすを使って一気に力を込めて巻くことで、崩れずきれいな輪郭に仕上がるという。切り分けたときに初めて模様が見えるので、仕上がりを想像しながら手を進める。
なぜこの形になったのか
かつては地元の名誉職の男性が受け持つ晴れの日の仕事だったが、戦後の暮らしの変化とともにつくり手が女性に移り、より華やかな絵柄へと発展したと伝わる。祭りや桃の節句、お花見、入学式など人が集まる場でふるまう料理だったことが、切り口の美しさを競う工夫につながったとみられる。年中行事や冠婚葬祭に合わせて各家庭でつくられてきた。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ千葉県
- アリランラーメン千葉県長柄町の峠にある一軒から始まったと伝わるラーメン。朝鮮半島の伝説の峠にちなんで名づけられたといい、たっぷりの玉ねぎと豚肉の甘みが溶け込んだ醤油スープに、自家製ラー油とすりおろしニンニクでコクと辛みを重ねる。
- ばらっぱまんじゅう収穫したばかりの小麦を挽いた生地にあんを包み、サルトリイバラ(ばらっぱ)の葉を下に敷いて蒸す北総地域の饅頭。夏祭りやお盆に人が集まると材料を持ち寄ってつくられてきたと伝わる。
- いわしの卯の花漬け酢でしめた背黒イワシを、甘酢で炒ったおからと人参、しょうがとともに漬け込む保存食。おからの白さを卯の花に見立てて名がつき、型崩れや酸化を防ぐ効果もあるとされ、正月のお節や日々の常備食として親しまれてきた。
- 落花生味噌市場に出回らない規格外の落花生を、味噌や砂糖と合わせて炒りつける常備菜。今ほど食料が豊かでなかった時代、農家が余った落花生を無駄にしない工夫から生まれたと伝わる。
- すみつかれ鬼おろしで粗くおろした大根と人参を、節分の豆や酒かすと一緒に煮た料理。栃木県から伝わったとされ、2月最初の午の日にお稲荷様へ供えてから食べる。茨城や埼玉にも同じ名の郷土料理が伝わっている。
- ゆで落花生掘りたての生の落花生をさやごと塩水でゆでる、千葉の産地ならではの季節の味。生の落花生は収穫後すぐに硬くなり出すため、掘りたてをすぐゆでないとおいしくならないという。