麺 ── そば
かけそば
Kake Soba
茹でたそばに直接つゆを注いで食べる、種物の基本形。室町期の文献にはつゆをつけずに直接かける食べ方への戒めが見られ、これが「ぶっかけ」の始まりとされる。江戸後期には男性的な食べ方として広まったという。
何でできているか
茹でたそばに、温かいつゆをそのまま注いだものとされる。もり・ざるのようにつゆにつけず、麺とつゆが最初から一体になっているのが特徴で、鴨南蛮や天ぷらそばなど、具材をのせるすべての「種物」はこのかけそばを土台にしているという。もっとも簡素な一杯でありながら、そば屋の実力がそのまま出る品とも語られ、値段の安さから庶民の日常食としても親しまれてきたという。
どう作るのか
茹でたそばを湯切りし、丼に盛ってから温かいつゆを直接かける。もり・ざるのように水で締める工程を踏まず、茹でたての熱をそのまま生かすとされる。つゆにはしょうゆやみりんが使われ、だしとの合わせ方が店ごとの持ち味になるという。具をのせずつゆと麺だけで勝負する分、だしの引き方がそのまま味の差になるといわれる。
なぜこの形になったのか
元禄5年(1692年)の女性向け作法書には、そばに直接つゆをかけて食べるのは男性的な食べ方だとして戒める記述があるとされ、逆にいえば当時すでにそうした食べ方があったことがうかがえるという。もりのようにつゆにつける作法が先にあり、そこから直接かける食べ方が枝分かれして「かけ」になったと語られる。江戸後期になって、この食べ方が広く受け入れられていったとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
使われる
対比
- 天ぷらそばかけそばに天ぷらをのせた種物。文政10年(1827年)の川柳に詠まれており、少なくともそれ以前からそば屋で売られていたとされる。江戸時代は芝海老の天ぷらが主流で、昭和以降は車海老が主流になったという。
- とろろそばすりおろした山の芋をもり汁でのばしたとろろをかけて食べるそば。江戸時代の『蕎麦全書』(1751年)には、山の芋をつなぎとして使う工夫も紹介されている。冷たいそばが本筋とされ、温めると粘りが弱まるという。
- もりそばとざるそば茹でて冷水で締めたそばをつゆにつけて食べる、冷たいそばの基本形。「もり」はつゆをかけずつける食べ方を区別する呼び名として広まり、「ざる」はそれより古く、竹ざるに盛ったことに由来するとされる。今は海苔の有無が主な違いという。
- 年越しそば大晦日の夜に食べる習慣のそば。「年取りそば」「大年そば」とも呼ばれる。細く長く伸びる形から長寿や家運の発展を願う説、切れやすさから一年の苦労を断ち切る説など、由来には複数の説があるとされる。
- 鴨南蛮かけそばに鴨肉とねぎをのせた種物。文化年間(1804〜18年)、江戸馬喰町の「笹屋」が最初に商品化したというのが定説とされる。「南蛮」はねぎを好んだ南方の人々を指す江戸時代の呼び名に由来するという。