ごはんもの
茶粥
Chagayu
煮出したほうじ茶に冷やご飯を入れてさらりと炊いた奈良の日常食。東大寺のお水取りの献立にも茶粥の原型が記されているとされ、「大和の朝は茶粥で明ける」と言われるほど朝食に根付いている。
- 発祥: 奈良県
- 東京から西へ約380km
系譜
茶粥奈良茶飯
何でできているか
煮出したほうじ茶の中に冷やご飯を入れて炊いた、さらりとした粥で、奈良県全域で親しまれている。「おかいさん」とも呼ばれ、茶の香ばしさとご飯のほのかな甘みが溶け合う、奈良の日常的な朝食となっている。さらりとした口当たりが特徴とされる。今では毎朝炊く家庭はほとんどなくなったが、ホテルの朝食メニューとして出されることもあるという。
どう作るのか
ほうじ茶を煮出し、その中に冷やご飯を入れて炊く。腹持ちをよくするため、さつまいもやかぼちゃ、里芋、栗、かき餅などさまざまなものを入れて食べたという。ほうじ茶を煮出す際には木綿の茶袋を使うのが一般的だが、山添村では竹製の茶袋が今も受け継がれているという。冷やご飯を使うことで、ふっくらとやわらかい仕上がりになるという。
なぜこの形になったのか
夜にご飯を炊く家庭が多かった大和地方では、余った冷やご飯をあたたかく食べ直す方法として茶粥が一般家庭に広まったと考えられている。東大寺の「お水取り」の献立には米をほうじ茶で煮た「ゲチャ」という料理が登場し、千二百年以上前からすでに茶粥に通じる食べ方があったとされる。「大和の朝は茶粥で明ける」と言われるほど、地域に根づいた日常食として今も食べられている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
兄弟
同じ奈良県
- あまごの甘露煮渓流の女王とも呼ばれるアマゴを素焼きにし、ほうじ茶で煮てから醤油とみりんで甘辛く煮含める吉野郡・宇陀郡の料理。クセのない川魚とされ、古くから家庭で作られてきたおふくろの味という。
- 飛鳥鍋鶏肉と季節の野菜を牛乳とだし汁で煮込む明日香村の鍋。飛鳥時代に唐からもたらされた乳製品が宮中に伝わり、後に飼っていた鶏の肉を牛乳で煮た精進料理が起源とされ、昭和初期に今の形になったという。
- 鮎寿司吉野川流域で作られる、アユを姿のまま酢飯にのせて押した寿司。川の石の藻を食べて育つアユは「香魚」と呼ばれ、歌舞伎の演目に登場する鮨屋が奈良に実在したことから知られるようになったとされる。
- でんがら餡を包んだ餅を朴の葉でくるんで蒸す東吉野村・川上村の菓子。男の子の立身出世や無事な成長を願う端午の節句に作られ、一本の枝から出た葉ひとつひとつに餅を包むため、房のような形になるという。
- エイの煮こごり赤エイを醤油と砂糖で甘辛く煮つけた奈良の料理。ゼラチン質が煮汁に溶け出し、冷めるとゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる。春日大社若宮のおん祭では、のっぺいと共に食べられてきたとされる。
- 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅夏至から十一日目の「半夏生」の頃、つぶし小麦ともち米をついて作る奈良盆地の餅。小麦の収穫と田植えが一段落する節目に作られ、田の神を送る早苗饗の行事に合わせて食べることから「さなぶり餅」とも呼ばれる。