鍋・汁もの ── 鍋料理
じゅんさい鍋
Junsai Nabe
沼で育つ水草じゅんさいのゼリー状の新芽を、鶏肉やごぼう、せりと煮た鍋料理。つるりとした喉ごしが持ち味で、日本有数の産地である三種町では箱舟で手摘みする夏の風物詩と伝わる。
- 発祥: 秋田県三種町
- 醤油・寄せ鍋系
- 東京から北へ約480km
秋田県三種町
何でできているか
沼に自生するじゅんさいの新芽を、鶏肉やごぼうとともにたっぷり入れた三種町の夏の鍋。ゼリー状の膜に包まれた新芽はつるりとしたのどごしとぷりっとした食感を持ち、鶏の出汁との相性がよいという。産地ならではの惜しみない使い方で、初夏を告げる涼やかな鍋料理になっているという。沼の縄のように細長く生えることから「ヌナワ」とも呼ばれてきたという。
どう作るのか
鶏ガラでとった出汁に地鶏やごぼう、セリを入れて煮立て、すべてに火が通ったところで最後にじゅんさいを加える。じゅんさいは火を通しすぎないことがおいしく食べるこつだという。つるりとした新芽を箸でとらえながら味わう、ほかの鍋とは一味違う食感が楽しめるという。収穫期の5月から8月にかけては、地元で「夏の鍋」として親しまれているという。
なぜこの形になったのか
スイレン科の水草であるじゅんさいは、かつては各地の沼に自生していたが、環境の変化で自生地が減少したと伝わる。三種町の角助沼では絶やしてはいけない食材として沼の開墾整備が進められ、いまも箱舟に乗って一つひとつ手摘みする様子が夏の風物詩として続いているという。地域にとって大切な食材を守り育てる取り組みが、いまの産地を支えているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ秋田県
- 赤ずし(赤漬け)炊いたもち米を赤じそと酢で漬け込み、短く発酵させる秋田の郷土ずし。魚を使わない植物性のなれずしで、お盆に仏前へ供える行事食としても伝わる、酸味の穏やかな夏の一皿。
- あさづけ砕け米をすりつぶして煮た生地を砂糖と酢で味付けし、きゅうりやかぶ、季節の果物を混ぜた甘酸っぱいデザート。一般的な漬物の「浅漬け」とは別物で、田植えを終えた女性たちを癒やす夏の一品と伝わる。
- 江戸系ラーメン醤油ラーメンの表面に、ニラとニンニクを効かせた真っ赤な辛味噌がひとかたまり乗る。溶かしながら食べ進めるうち、あっさりした一杯が少しずつ濃く辛く変わっていく秋田市のご当地ラーメン。
- 干し餅切った餅を吊るし編みにして水に浸し、冬の寒さで凍らせては乾かす「寒締め」を経て作る保存菓子。さくさくとした歯ごたえが持ち味で、腹持ちがよく、田植えの合間の軽食として食べられてきたと伝わる。
- いものこ汁里芋の子芋や孫芋「いものこ」を、鶏肉やきのこ、山菜とともに味噌や醤油で煮た秋の汁物。横手市山内地域特有の土壌で育つ里芋は柔らかな歯ごたえが特徴で、県北のきりたんぽ鍋と対比される郷土料理と伝わる。
- 秋田の酒軟水を使い、灘の硬水とは対照的にまろやかで細やかな酒質を目指すとされる秋田の酒。雪に埋もれた蔵が保温効果を持つことを生かし、低温でじっくり発酵させる造りが伝統として続いているという。