鍋・汁もの
鱈汁
Tara Jiru
真鱈を身からあら、肝、白子まで丸ごと使い、ねぎと味噌で仕立てた冬の汁物。にかほ市金浦山神社の鱈祭り「掛魚祭り」で振る舞われる、300年以上続く行事とともに伝わる秋田の冬の定番料理。
- 発祥: 秋田県にかほ市
- 東京から北へ約390km
秋田県にかほ市
系譜
鱈汁鱈の子炒り
何でできているか
産卵のため浅瀬に上がってきた寒鱈を、ネギとともに味噌ベースの汁で煮た秋田の冬の定番料理。身だけでなくアラや肝、白子まで一匹まるごと入れることで濃厚な出汁が出るという。低脂肪で高たんぱくな身と、とろりとしただだみ(白子)の食感が味噌の風味に包まれ、体の芯から温まるという。ハタハタと並び、秋田の冬を象徴する魚のひとつと伝わる。
どう作るのか
鱈とネギを味噌と酒でシンプルに味付けして煮込む。具は基本的に鱈とネギだけで、一匹まるごと入れることで濃厚な出汁を引き出すのが特徴だという。だだみ(白子)が余ったときは、湯通ししてしょうが醤油で食べることもあるという。素材そのものの味を生かした、飾らない汁物だという。骨からもよい出汁が出るため、残さず味わう食べ方が好まれているという。
なぜこの形になったのか
秋田では「鱈」はハタハタと並ぶ冬を代表する魚で、産卵のため浅瀬に上がる2月前後がもっとも脂がのっておいしい時期とされる。にかほ市では立春の日に鱈を氏神様に奉納し、豊漁と海の安全を願う伝統行事が伝わっており、こうした行事のあとに鱈汁がふるまわれる風習が根づいてきたという。漁師の信仰と食文化が結びついた、地域ぐるみの冬の営みという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ秋田県
- 赤ずし(赤漬け)炊いたもち米を赤じそと酢で漬け込み、短く発酵させる秋田の郷土ずし。魚を使わない植物性のなれずしで、お盆に仏前へ供える行事食としても伝わる、酸味の穏やかな夏の一皿。
- あさづけ砕け米をすりつぶして煮た生地を砂糖と酢で味付けし、きゅうりやかぶ、季節の果物を混ぜた甘酸っぱいデザート。一般的な漬物の「浅漬け」とは別物で、田植えを終えた女性たちを癒やす夏の一品と伝わる。
- 江戸系ラーメン醤油ラーメンの表面に、ニラとニンニクを効かせた真っ赤な辛味噌がひとかたまり乗る。溶かしながら食べ進めるうち、あっさりした一杯が少しずつ濃く辛く変わっていく秋田市のご当地ラーメン。
- 干し餅切った餅を吊るし編みにして水に浸し、冬の寒さで凍らせては乾かす「寒締め」を経て作る保存菓子。さくさくとした歯ごたえが持ち味で、腹持ちがよく、田植えの合間の軽食として食べられてきたと伝わる。
- いものこ汁里芋の子芋や孫芋「いものこ」を、鶏肉やきのこ、山菜とともに味噌や醤油で煮た秋の汁物。横手市山内地域特有の土壌で育つ里芋は柔らかな歯ごたえが特徴で、県北のきりたんぽ鍋と対比される郷土料理と伝わる。
- 秋田の酒軟水を使い、灘の硬水とは対照的にまろやかで細やかな酒質を目指すとされる秋田の酒。雪に埋もれた蔵が保温効果を持つことを生かし、低温でじっくり発酵させる造りが伝統として続いているという。