発酵・保存
しょっつる
Shottsuru
ハタハタなど近海の魚を塩とともに1年以上発酵させて造る魚醤。江戸時代初期には各家庭で作られていたと伝わり、日本三大魚醤の一つとされる。冬の鍋料理「しょっつる鍋」の味の決め手として知られる。
- 発祥: 秋田県男鹿市
- 東京から北へ約470km
秋田県男鹿市
系譜
何でできているか
魚を長期間発酵させて造る、塩気と強い旨味を併せ持つ琥珀色の液体調味料。生臭さは意外なほど少なく、熟成の過程で魚のたんぱく質が分解されてできた旨味成分が味の中心になっている。鍋に少量加えるだけでだし全体に深みが出るため、具材の下味というより出汁そのものとして働くとされる。白菜やねぎなど淡白な野菜と合わせても、味の芯がぼやけない強さを持つという。
どう作るのか
ハタハタなど近海の魚を丸ごと、あるいは内臓ごと塩とともに漬け込み、1年以上かけて発酵させる。魚の身は徐々に溶けて液体状になり、上澄みを濾して調味料として使う。長期の発酵によって生臭みのもとになる成分が分解され、代わりに旨味成分が凝縮されるとされる。冬の寒さの中でゆっくり発酵させることが、雑菌の繁殖を抑えながら旨味を育てる工夫になっているという。
なぜこの形になったのか
江戸時代初期には各家庭で作られていたと伝わる、秋田県沿岸の保存食文化から生まれたとされる。冬場に大量に獲れるハタハタを長く保存し、限られた食材で塩気と旨味を補う知恵として発達したと考えられている。各地に残る魚醤の一つとして、冬の鍋料理「しょっつる鍋」の味の決め手として知られる。雪深い土地で保存食を仕込む生活の知恵が、そのまま郷土料理の核になったといえる。
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
兄弟
使う
同じ秋田県
- 赤ずし(赤漬け)炊いたもち米を赤じそと酢で漬け込み、短く発酵させる秋田の郷土ずし。魚を使わない植物性のなれずしで、お盆に仏前へ供える行事食としても伝わる、酸味の穏やかな夏の一皿。
- あさづけ砕け米をすりつぶして煮た生地を砂糖と酢で味付けし、きゅうりやかぶ、季節の果物を混ぜた甘酸っぱいデザート。一般的な漬物の「浅漬け」とは別物で、田植えを終えた女性たちを癒やす夏の一品と伝わる。
- 江戸系ラーメン醤油ラーメンの表面に、ニラとニンニクを効かせた真っ赤な辛味噌がひとかたまり乗る。溶かしながら食べ進めるうち、あっさりした一杯が少しずつ濃く辛く変わっていく秋田市のご当地ラーメン。
- 干し餅切った餅を吊るし編みにして水に浸し、冬の寒さで凍らせては乾かす「寒締め」を経て作る保存菓子。さくさくとした歯ごたえが持ち味で、腹持ちがよく、田植えの合間の軽食として食べられてきたと伝わる。
- いものこ汁里芋の子芋や孫芋「いものこ」を、鶏肉やきのこ、山菜とともに味噌や醤油で煮た秋の汁物。横手市山内地域特有の土壌で育つ里芋は柔らかな歯ごたえが特徴で、県北のきりたんぽ鍋と対比される郷土料理と伝わる。
- 秋田の酒軟水を使い、灘の硬水とは対照的にまろやかで細やかな酒質を目指すとされる秋田の酒。雪に埋もれた蔵が保温効果を持つことを生かし、低温でじっくり発酵させる造りが伝統として続いているという。