発酵・保存
魚の漬物(塩辛)
Sakana no Shiokara
イワシやサンマ、サバ、カツオなどを一匹丸ごと塩で漬け込み、秋から冬に仕込んで春に食べる保存食。冷蔵庫のない時代、熊野灘の好漁場で大量にとれた魚を余さず活かす知恵として伝わってきたという。
- 発祥: 三重県
- 東京から西へ約320km
系譜
魚の漬物(塩辛)いかの塩辛
何でできているか
サンマやサバ、カツオなど大量にとれた魚を丸のまま塩で漬け込んだ保存食。サンマは「サイラのしょから」、和具地域ではカツオやカマスの身を使う「わたじょから」、カツオの内臓を使う「かつおのしょから」など、魚種や部位によって呼び名が変わるという。漬けあがった身は透き通るような赤さを帯び、濃い旨味と塩気が凝縮されている。
どう作るのか
サンマのような小ぶりの魚は丸のまま塩や塩糠で、少し大きな魚は塩だけで、たくあん漬けのように甕や桶に漬けて保存する。多量の塩による防腐と、魚自身の酵素による旨味の生成、微生物による香気づけが重なって特有の風味が生まれるという。食べるときは糠を軽く取り除いてから、三枚におろして薄く切って盛りつけるとされる。
なぜこの形になったのか
熊野灘は伊勢湾からの真水と外洋の流れが合流してプランクトンが多く、小魚とそれを追う大型魚が集まる好漁場とされる。冷蔵庫のない時代、大量に水揚げされた魚を無駄にせず保存する方法として塩干物づくりが発達し、その一つとして一匹丸ごとの「魚の漬物」が生まれたと伝わる。秋から冬に漬け、春に食べるのが基本という。
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
兄弟
同じ三重県
- あほだき味や匂いが落ちてきた古漬けのたくあんを塩抜きし、醤油だれで炊き直す北勢地域の常備菜。美味しい時期を過ぎてから食べる「あほなことをしている」との自嘲めいた名の由来が伝わる、食品を無駄にしない知恵の料理。
- 盆汁ごぼうやなす、かぼちゃなど旬の野菜をたっぷり煮込んだ味噌汁。お盆に殺生を避ける禅宗の教えから、かつお節や煮干しのだしを使わず、油揚げと具材の多さで旨みを出すのが特徴とされる。
- 茶粥ほうじ茶などを煎じた茶袋の湯に米を入れて炊いたお粥。耕地が少なく米が貴重だった伊賀地域で、水の量を増やして米を節約する工夫から生まれたとされ、夏は冷やして食べる家庭もあるという。
- ちゃつ大根や人参、れんこん、昆布、油揚げを千切りにし、酢と砂糖で煮た朝日町の料理。精進料理を盛った朱漆塗りの器「ちゃつ」に由来する名とされ、白く仕上げるため醤油を使わないのが特徴という。
- ふき俵大豆を炊き込んだご飯をふきの葉で米俵のかたちに包んだ伊賀地域の行事食。田植えの際、田の神に豊作を祈って供えるほか、農作業の合間の携帯食としても食べられてきたと伝わる。