発酵・保存
みき
Miki
米粉とさつまいも、砂糖を発酵させた乳酸菌飲料。祭事で神に捧げる口噛み酒を起源とすると伝わり、できたては甘く、日が経つほど酸味が増していく変化も奄美地域では好まれている。
- 発祥: 鹿児島県
- 東京から南西へ約1260km
鹿児島県
何でできているか
米とさつまいも、砂糖でつくる乳酸発酵飲料で、奄美地域で親しまれている。とろりとした口当たりで、甘いおかゆか甘酒のような味わいがある。できたては甘みが強いが、日が経つにつれて酸味が増していき、奄美地域では酸味のあるものが好まれる傾向があるという。植物性の乳酸菌を豊富に含むことから、近年は健康志向の飲み物としても注目されている。
どう作るのか
湯を張った鍋に米粉と砂糖を入れて加熱しながら混ぜ、すりおろしたさつまいもの絞り汁を粗熱がとれた頃合いに加える。蓋をして冷暗所に置き、数日かけて発酵させたら冷蔵庫で冷やしてグラスに注ぐ。そのまま飲むほか、フルーツジュースやお酒で割ったり、果物を加えてデザート風に食べる楽しみ方もあるという。発酵の日数によって酸味の強さが変わるため、好みの加減を見極めるのも楽しみの一つだという。
なぜこの形になったのか
「みき」は「神酒」とも書き、祭りの際に神に捧げられた口噛み酒がルーツとされる。幕末の薩摩藩士・名越左源太が記した『南島雑話』にもその記述があり、古くから豊年祭などで農作物の豊作を願ってつくられてきたと伝わる。近年は専門店も増え、食欲が落ちる夏や体調を崩した際の栄養補給として飲まれることも多いという。沖縄県でも同様の発酵飲料が飲まれているが、さつまいもではなく麦を使う点が異なるという。
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ鹿児島県
- 油ゾーメン豚肉とそうめんをだし汁ごと炒め、油と出汁を乳化させてまとわせる奄美地域の一皿。小麦を育てない奄美でそうめんが根づいた経緯は定かでないが、八月踊りなど人が集まる行事に欠かせない。
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚骨野菜大きく切った骨付き豚肉とツワブキ、大根、里芋の在来種コシャマンを大鍋で煮こむ、奄美地域の大晦日に欠かせない料理。別名ウァンフィネヤッセといい、島豚を余さず食べ尽くす知恵の一皿とされる。
- 豚汁豚肉と大根、里芋などを煮こむ味噌汁で、飼育頭数の多い鹿児島の豚と、麹が多く甘みの強い麦味噌を合わせてつくる。冬に体を温める一椀として、家庭でも給食でも広く親しまれている。
- 豚味噌ゆでた豚肉を味噌や砂糖と混ぜ合わせてつくる常備菜。奄美地域では落花生やカツオ節も加える。年に一度しめる島豚を余さず食べるため、保存のきく料理として塩漬けなどとともに生まれたと伝わる。