発酵・保存 ── 漬物
山形のだし
Yamagata Dashi
なすやきゅうりなどの夏野菜と薬味を刻み、醤油で和える山形の常備菜。生のまま手軽に食べられるスピード料理として、暑さの厳しい村山地域を中心に親しまれてきたという。
- 発祥: 山形県村山地域・置賜地域
- 東京から北へ約290km
山形県村山地域・置賜地域
何でできているか
なす、きゅうりなど水分の多い夏野菜と、みょうがや青じそなどの香味野菜を細かく刻み、醤油で味付けする。「100軒の家があれば100種類の味」といわれるほど家庭ごとに具材が違い、山芋やオクラ、刻み昆布でねばりを加える家庭や、玉ねぎを加える家庭もあるという。子ども向けにとうもろこしや枝豆を入れると好評だそうだ。
どう作るのか
野菜をすべてみじん切りにし、水にさらしてアクを抜いてから水気を切る。器に盛ってかつお節をかけ、だし醤油を回しかければできあがる。ごはんにのせるほか、冷奴やそうめん、そばの薬味としても使われ、飲食店では「だしパスタ」や「だしピザ」など、アレンジメニューを提供するところも珍しくないという。酒の肴としてそのまま食べることもある。
なぜこの形になったのか
夏は高温多湿で暑さが厳しい村山地域を中心に、食欲が落ちる時期の農繁期に手早くつくれるスピード料理として定着したとされる。名前の由来には諸説あり、出汁のように他の食材を引き立てることから「だし」となった説や、刻んで手早く食卓に出すことに由来する説などがあり、山形県の観光土産としても広く浸透しているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
- 食用ぎくのおひたし紫色の食用ぎく「もってのほか」の花びらだけを摘み、酢を落とした湯でさっと茹でて醤油をかける。筒状の花弁が生むしゃきしゃきした歯ごたえとほろ苦さを、山形の家庭では秋の惣菜として日常的に味わうという。
- しょうゆの実大豆、小麦、米に種麹を混ぜた麹に塩水を加えて発酵させる庄内の万能調味料で、江戸時代から食べられてきたという。ご飯にのせたり冷奴や焼き肉のたれに使ったりと、麹の量で甘みや塩気が家ごとに変わる。
- あけびの味噌詰め焼きほろ苦いあけびの皮に、ひき肉と舞茸を味噌と砂糖で煎り煮したものを詰め、タコ糸で結んで焼く秋の一品。全国では実の白い部分を食べるのが一般的だが、山形では皮を食べる珍しい食文化が根づいているという。
同じ山形県
- 赤湯辛味噌ラーメン味噌スープの中央に辛味噌を乗せ、溶かしながら味を変えて食べる。
- どんがら汁寒の時季にとれる寒ダラを頭から内臓まで余さず味噌仕立ての汁にする、庄内の漁師料理が起こりとされる冬の一杯。あぶらわたと呼ぶ肝のこくが決め手で、ねぎは入れず岩のりだけを添えるのが本来という。
- ハタハタの湯上げ産卵のため庄内浜に押し寄せるハタハタを丸ごと湯がき、大根おろしと醤油だけで食べるシンプルな冬の魚料理。うろこがなく下処理が手軽なことから、庄内の秋冬の食卓に定着してきたという。
- ひょう干しの煮物夏に摘んだすべりひゆ(ひょう)を茹でて天日干しにした保存食を戻し、糸こんにゃくや人参、油揚げと炒め煮にする正月料理。「今年も“ひょっと”していいことがありますように」と縁起を担いで食べるという。
- 芋煮里芋と牛肉、こんにゃく、ねぎを醤油味で煮込む秋の鍋で、最上川舟運の船頭が河原で棒ダラと里芋を煮て待ち時間を過ごしたのが始まりと伝わる。庄内側では豚肉と味噌仕立てに変わるなど地域差も大きい。