甘味
ふくれ菓子
Fukure Gashi
小麦粉と重曹、黒糖を混ぜて蒸す郷土菓子で、重曹でふっくら膨らむことからソーダ菓子とも呼ばれる。薩摩藩が奄美・琉球の黒糖生産を独占した歴史を背景に、黒糖菓子として鹿児島に根づいた。
- 発祥: 鹿児島県鹿児島市
- 東京から南西へ約970km
鹿児島県鹿児島市
何でできているか
小麦粉と重曹、黒糖を合わせて蒸しあげた素朴な蒸し菓子とされる。重曹の力でふっくらと膨らむことから「ソーダ菓子」とも呼ばれる。蒸したては生地がふんわりと軽く、冷めるにつれてもっちりとした食感に変わり、黒糖の風味が奥から漂う。「ふくらかん」「ふくれかん」といった呼び名も残っており、素朴な見た目ながら噛むほどに黒糖の甘みがじんわりと広がっていく。
どう作るのか
小麦粉と重曹を合わせた粉に、溶き卵、粉黒糖、はちみつ、酢、水を加えて混ぜ合わせ、ざるに流し入れて40分ほど蒸す。よもぎやかぼちゃを生地に練り込んだり、サネン(月桃)の葉を敷いて蒸し、葉の香りを移す地域もあるという。しっかり蒸気が通るまで蒸すことが、ふんわりとした仕上がりの決め手になり、生地に酢を加えることで重曹の風味が和らぎ食べやすくなるという。
なぜこの形になったのか
鹿児島県で黒糖が広く浸透したのは、薩摩藩が琉球や奄美地域でのさとうきび栽培と黒糖製造を独占し、年貢を黒糖で代納させて財源とした江戸時代の歴史が背景にあるとされる。島民には過酷な負担を強いた一方で黒糖が身近な甘味料として根づき、「ふくれ菓子」のような黒糖菓子が郷土の味として広まったと伝わる。かつては豊作を願う祭りの席や農作業の合間のお茶うけとして親しまれてきたという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ鹿児島県
- 油ゾーメン豚肉とそうめんをだし汁ごと炒め、油と出汁を乳化させてまとわせる奄美地域の一皿。小麦を育てない奄美でそうめんが根づいた経緯は定かでないが、八月踊りなど人が集まる行事に欠かせない。
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚骨野菜大きく切った骨付き豚肉とツワブキ、大根、里芋の在来種コシャマンを大鍋で煮こむ、奄美地域の大晦日に欠かせない料理。別名ウァンフィネヤッセといい、島豚を余さず食べ尽くす知恵の一皿とされる。
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- 豚味噌ゆでた豚肉を味噌や砂糖と混ぜ合わせてつくる常備菜。奄美地域では落花生やカツオ節も加える。年に一度しめる島豚を余さず食べるため、保存のきく料理として塩漬けなどとともに生まれたと伝わる。