ごはんもの ── 寿司
めはりずし
Mehari Zushi
塩漬けした高菜の葉で大きなおにぎりをまるごと包む、県南部の山仕事や漁の合間に食べられてきた携行食。名前の由来には目を見張るほど大きい、美味しいなど諸説あり、地域によって具や米の炊き方が違うという。
- 発祥: 和歌山県
- 東京から南西へ約460km
和歌山県
何でできているか
「めはりずし」は、塩漬けにした高菜の葉で大きなおにぎりを包んだすしで、県南部地域の弁当として親しまれてきた。ふっくらと炊いた白米やすし飯を高菜漬けの塩味と酸味が包み込み、口いっぱいに頬張る豪快さが持ち味となっている。高菜の芯を刻んで混ぜ込んだり、焼き魚をほぐして加えたりと具材は地域によってさまざまで、素朴でありながら食べ応えのある郷土の弁当となっている。
どう作るのか
収穫した高菜を1月から2月頃に樽で塩漬けにし、色が茶色く変わっても秋頃までもたせる。この高菜漬けを酢につけてやわらかくし、丸く握ったごはんを包み込む。白米のままでも、すし飯にしてもよく、米が貴重だった時代には麦を多めに混ぜて握ることもあったという。那智勝浦町下里地域では川でとれるシラウオを甘辛く煮て混ぜ込むなど、地域ごとに工夫が加えられている。
なぜこの形になったのか
漁業や林業が盛んな県南部地域では、忙しい漁や山仕事の合間に手早く食べられる携行食が求められたとされる。高菜は日当たりの悪い山間部でも育てやすく、平地の少ないこの地域に適した作物だったことも背景にあるという。名前の由来には「目を見張るほど大きく口を開けて食べる」「見た目の良さに目を見張る」など諸説あり、はっきりとはしていない。仕事の合間の一食として根付いた携行食としての性格が、今の形に表れている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
使われる
同じ和歌山県
- ぼうり皮をむかない里芋の親芋を二日がかりで煮込む、田辺市大塔村鮎川に伝わる正月の一皿。護良親王を助けなかった非礼を600年悔い、餅つきをやめて代わりに食べ続けたとの言い伝えが残っているという。
- ごま豆腐生のごまの皮を除いてすり潰し、高野山の水と吉野葛で練り上げて炊く精進料理の一つ。肉や魚を断つ修行僧のたんぱく源として生まれたと伝わり、今では高野山の土産や和食の一品として広く親しまれている。
- ゴンバチの油炒め正式にはイタドリという山菜「ごんばち」を、湯通しして皮をむいてから油でさっと炒める春の一品。折ると軽快な音が鳴るほど太くよく伸びた茎を使い、コリコリとした歯ごたえとほのかな酸味が持ち味だという。
- はたごんぼずし橋本市西畑地区の急斜面の赤土で育つ、太くて丸みのある「はたごんぼ」を輪切りにし、中心をくり抜いて酢飯を詰める。一時は栽培が途絶えかけたが、地元組合が2013年に約70年ぶりに復活させたという。
- いがみの煮付け県南部でブダイと呼ばれる磯魚「イガミ」を丸ごと甘辛く煮付ける一皿。冬に岩場の海藻を食べて臭みが抜けて美味になることから、田辺市周辺では正月に鯛の代わりに尾頭付きで供える習慣が伝わるという。
- いのこ餅うるち米ともち米に里芋を炊き込んでつぶし丸めた餅に、塩を効かせた小豆あんをまとわせる。旧暦10月の亥の日、実りに感謝して田の神に供える行事食とされ、県南部の一部では秋祭りでもつくられているという。