ごはんもの
豆ごはん
Mame Gohan
米が乏しくなる春先に、収穫期を迎えるうすいえんどうをたっぷり炊き込んでかさ増しした、和歌山県中部地域の豆産地に伝わるご飯。塩だけで味付けし、豆の風味と甘みを生かした素朴な一品だという。
- 発祥: 和歌山県
- 東京から南西へ約470km
和歌山県
何でできているか
「豆ごはん」は、県内有数の産地である「うすいえんどう」を米と一緒に炊き込んだ混ぜごはんとなっている。粒が大きくホクホクとした食感のうすいえんどうは甘みが強く、塩だけのシンプルな味つけでも豆の風味がしっかりと感じられる。豆の緑と米の白のコントラストも美しく、子どもにも好まれる、印南町など県内各地でつくられる春の味覚となっている。
どう作るのか
うすいえんどうを米と一緒に炊き上げると、鮮やかな緑色の豆はしだいに茶色がかった色に変わっていくが、豆の風味はしっかりとごはんに移る。豆をきれいな緑色のまま仕上げたい場合は、炊き上がりの5分ほど前に加えるとよいとされる。味つけは塩だけとシンプルで、うすいえんどう本来の甘みとホクホクとした食感を生かした炊き込みごはんに仕上がる。
なぜこの形になったのか
和歌山県は全国有数のえんどう産地で、印南町や日高川町、みなべ町など県内各地で多品種のえんどうが栽培されているという。うすいえんどうは明治時代にアメリカから大阪へ伝わったものが和歌山に入り、温暖な気候が栽培に適していたことから生産者が増えていったとされる。春になると米が乏しくなる一方でえんどう豆が収穫期を迎えるため、米に豆をたくさん加えて量を増やしたことが「豆ごはん」の始まりと伝わっている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ和歌山県
- ぼうり皮をむかない里芋の親芋を二日がかりで煮込む、田辺市大塔村鮎川に伝わる正月の一皿。護良親王を助けなかった非礼を600年悔い、餅つきをやめて代わりに食べ続けたとの言い伝えが残っているという。
- ごま豆腐生のごまの皮を除いてすり潰し、高野山の水と吉野葛で練り上げて炊く精進料理の一つ。肉や魚を断つ修行僧のたんぱく源として生まれたと伝わり、今では高野山の土産や和食の一品として広く親しまれている。
- はたごんぼずし橋本市西畑地区の急斜面の赤土で育つ、太くて丸みのある「はたごんぼ」を輪切りにし、中心をくり抜いて酢飯を詰める。一時は栽培が途絶えかけたが、地元組合が2013年に約70年ぶりに復活させたという。
- いがみの煮付け県南部でブダイと呼ばれる磯魚「イガミ」を丸ごと甘辛く煮付ける一皿。冬に岩場の海藻を食べて臭みが抜けて美味になることから、田辺市周辺では正月に鯛の代わりに尾頭付きで供える習慣が伝わるという。
- いのこ餅うるち米ともち米に里芋を炊き込んでつぶし丸めた餅に、塩を効かせた小豆あんをまとわせる。旧暦10月の亥の日、実りに感謝して田の神に供える行事食とされ、県南部の一部では秋祭りでもつくられているという。