惣菜
食用ぎくのおひたし
Shokuyogiku no Ohitashi
紫色の食用ぎく「もってのほか」の花びらだけを摘み、酢を落とした湯でさっと茹でて醤油をかける。筒状の花弁が生むしゃきしゃきした歯ごたえとほろ苦さを、山形の家庭では秋の惣菜として日常的に味わうという。
- 発祥: 山形県
- 東京から北へ約290km
何でできているか
色鮮やかな花びらだけを食べる、山形ならではのおひたしとされる。使うのは食用ぎくの花弁、酢、醤油のみといたってシンプル。ゆでた花びらは独特のしゃきしゃきとした歯ごたえとほろ苦い香りを残し、酢を効かせることで色が鮮やかに発色すると伝わる。紫色の「もってのほか」という品種は、筒状になった花弁がとりわけ強い歯応えを生むという。
どう作るのか
花をガクから外して花びらだけをほぐし、酢を少量落とした熱湯でさっとゆでる。すぐに冷水にとって色止めをし、水気をよく絞ってから醤油やだし醤油をかけて仕上げるという。ゆで過ぎず、しゃきしゃきとした歯ごたえを残すのが要とされる。彩りを活かしてほうれん草と和えたり、くるみと合わせてコクを加える食べ方も好まれると伝わる。
なぜこの形になったのか
山形県は食用ぎくの産地として知られ、昼夜の寒暖差のある気候が花の発色や香りを引き立てるとされる。冬に向けて彩りや栄養に乏しくなりがちな食卓に、花を野菜のように取り入れる知恵が育まれたと伝わる。酢を効かせた熱湯でさっとゆでて色と歯ごたえを保つ工夫は、限られた旬の味を余すことなく楽しむための知恵だったと考えられる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ山形県
- 赤湯辛味噌ラーメン味噌スープの中央に辛味噌を乗せ、溶かしながら味を変えて食べる。
- あけびの味噌詰め焼きほろ苦いあけびの皮に、ひき肉と舞茸を味噌と砂糖で煎り煮したものを詰め、タコ糸で結んで焼く秋の一品。全国では実の白い部分を食べるのが一般的だが、山形では皮を食べる珍しい食文化が根づいているという。
- どんがら汁寒の時季にとれる寒ダラを頭から内臓まで余さず味噌仕立ての汁にする、庄内の漁師料理が起こりとされる冬の一杯。あぶらわたと呼ぶ肝のこくが決め手で、ねぎは入れず岩のりだけを添えるのが本来という。
- ハタハタの湯上げ産卵のため庄内浜に押し寄せるハタハタを丸ごと湯がき、大根おろしと醤油だけで食べるシンプルな冬の魚料理。うろこがなく下処理が手軽なことから、庄内の秋冬の食卓に定着してきたという。
- ひょう干しの煮物夏に摘んだすべりひゆ(ひょう)を茹でて天日干しにした保存食を戻し、糸こんにゃくや人参、油揚げと炒め煮にする正月料理。「今年も“ひょっと”していいことがありますように」と縁起を担いで食べるという。
- 芋煮里芋と牛肉、こんにゃく、ねぎを醤油味で煮込む秋の鍋で、最上川舟運の船頭が河原で棒ダラと里芋を煮て待ち時間を過ごしたのが始まりと伝わる。庄内側では豚肉と味噌仕立てに変わるなど地域差も大きい。