惣菜
三献
Sangon
赤椀の吸い物、刺身、黒椀の吸い物を順に食べ、間ごとに家族で焼酎を酌み交わす奄美地域の正月儀礼。室町時代の本膳料理に連なるとされ、いまも奄美では正月行事として根づいている。
- 発祥: 鹿児島県
- 東京から南西へ約1260km
鹿児島県
系譜
三献豚骨野菜
何でできているか
奄美地域の正月に営まれる儀式食で、餅入りの吸い物を盛る赤椀、白身魚の刺身、鶏肉または豚肉の吸い物を盛る黒椀の三品からなる。焼酎を挟みながら三つの膳を順にいただく構成で、吸い物のやさしい旨味と刺身の淡白な味わいが対照をなす。膳を一つ終えるごとに家族で杯を交わす、儀式的な時間の流れそのものが味わいの一部になっている。
どう作るのか
元旦の朝、家長の掛け声とともに儀式ははじまる。まず赤椀の一の膳で、餅やかまぼこ、魚、エビなどを入れた吸い物をいただく。次に二の膳で白身魚やタコの刺身を、最後に三の膳で黒椀に入った鶏肉または豚肉の吸い物を食す。一膳ごとに家族で焼酎の杯を回すのが習わしで、塩や昆布などを盛った「塩盛」を添える家庭もあり、地域によって膳の順番や添える料理が異なることもあるという。
なぜこの形になったのか
「三献」はもともと室町時代に確立し江戸時代に発展した本膳料理の作法の一つで、いまでは冠婚葬祭などの特別な場でのみおこなわれるものになったが、奄美地域では正月行事として根づいたと伝わる。安政の大獄で奄美大島に身を潜めた西郷隆盛が、島の名家の娘・愛加那との祝言でこの膳をあげたという逸話も残っている。現代では簡略化する家庭もあるが、正月に欠かせない行事として語り継がれているという。
食べに行く前に
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- 油ゾーメン豚肉とそうめんをだし汁ごと炒め、油と出汁を乳化させてまとわせる奄美地域の一皿。小麦を育てない奄美でそうめんが根づいた経緯は定かでないが、八月踊りなど人が集まる行事に欠かせない。
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚汁豚肉と大根、里芋などを煮こむ味噌汁で、飼育頭数の多い鹿児島の豚と、麹が多く甘みの強い麦味噌を合わせてつくる。冬に体を温める一椀として、家庭でも給食でも広く親しまれている。
- 豚味噌ゆでた豚肉を味噌や砂糖と混ぜ合わせてつくる常備菜。奄美地域では落花生やカツオ節も加える。年に一度しめる島豚を余さず食べるため、保存のきく料理として塩漬けなどとともに生まれたと伝わる。