惣菜
おばく
Obaku
一晩浸した丸麦にじゃがいもや大根、里芋などを加え、たっぷりの水で柔らかく炊く山梨の主食。米が貴重だった山間部の日常食とされ、味付けはせず、ねぎ味噌や醤油の実をつけて食べると伝わる。
- 発祥: 山梨県
- 東京から西へ約110km
系譜
おばく茂倉瓜の冷や汁
何でできているか
一晩水に浸した丸麦に、じゃがいもや大根、里芋などの野菜をたっぷり加え、たっぷりの水で時間をかけてやわらかく炊き上げる。とろとろとした汁気の中に、丸麦のぷちぷちとした食感が残るのが持ち味とされる。それ自体には味付けをせず、ねぎ味噌や醤油の実をつけて食べると、麦の素朴な甘みがいっそう引き立つとされている。
どう作るのか
前日から水に浸した丸麦と金時豆を鍋で煮立て、大根や里芋、じゃがいも、さつまいもを加えて焦げないよう時々かき混ぜながらじっくり炊く。具材がやわらかくなったら研いだ米と水を加え、鍋底が見えるくらいまでとろりと炊き上げるとされる。仕上げに味噌とねぎ、花かつおを合わせたねぎ味噌をつくり、つけて食べるという。
なぜこの形になったのか
稲作がしづらい山間部では米は祝いの日の貴重な食べ物とされ、代わりに丸麦が日常の主食として長く親しまれてきたと伝わる。大きなかまどで焦げつかせないよう一日中かき混ぜながら煮る、大変手間のかかる重労働だったとされる。麦は栄養に富むとされ、厳しい気候と重労働の暮らしを支える主食として根づいてきたとみられる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ山梨県
- あけぼの大豆の枝豆通常の1.6倍という大粒の「あけぼの大豆」を塩ゆでにする身延町曙地域の枝豆。明治から続く在来種だが機械化になじまず生産者の高齢化で希少となり、「幻の大豆」とも呼ばれてきたと伝わる。
- 甘納豆のお赤飯ささげや小豆を使わず、食紅で赤く色づけたもち米に甘納豆を混ぜ込む山梨の赤飯。ごま塩をかけると甘じょっぱく、祝いの席に欠かせないとされる。同様の甘い赤飯は遠く離れた北海道や東北の一部にもあると伝わる。
- あんびんさつまいも粉と小麦粉を熱湯でこね、あんを包んで叩いて平らにし蒸す峡南地域の菓子。あんを叩き入れる仕草が名前の由来とされ、廃校を機に地元が復活させた市川三郷町六郷の伝統食と伝わる。
- あわびの煮貝駿河湾でとれたアワビを醤油に漬けて樽で運び、馬の体温に揺られるうちに味がしみ込んだという甲州の名産。薄切りにして肝と盛り合わせ、しそやきゅうりを添えて食べると伝わる、海のない山梨に残る海の幸。
- 小豆ほうとう太めに切ったほうとう麺を、餅の代わりに小豆の汁粉に入れて煮る山梨の行事食。北杜市須玉町若神子の三輪神社の夏祭りは「ほうとう祭り」と呼ばれるほどで、赤い小豆の色が厄除けになるとされる。
- 平打ちタンメン山梨県甲府市発祥とされる、幅広の平打ち麺を使った塩味のタンメン。もやしや豚肉、白菜などの野菜がたっぷりのり、フェットチーネのような麺の食感が持ち味とされる。県内の複数の店に受け継がれている。