揚げもの ── 揚げ物
くじらの竜田揚げ
Kujira no Tatsutaage
しょうゆやみりん、しょうが汁に漬け込んだクジラの赤身を片栗粉で揚げる山口の一皿。戦後の学校給食の定番として広く親しまれ、下関や長門など捕鯨で栄えた地域では今も飲食店の逸品と伝わる。
- 発祥: 山口県
- 東京から西へ約830km
系譜
くじらの竜田揚げくじらの南蛮煮
何でできているか
しょうゆやみりん、しょうが汁に漬け込んだクジラの赤身を、片栗粉をまとわせて揚げる山口の一皿になっている。噛むほどに味わい深くなる赤身の食感と、しょうがの香りが立つ下味が持ち味で、戦後の学校給食で広く使われたことから世代を超えて親しまれてきたという。下関や長門など古くからクジラ食の文化が根づく地域では、今も飲食店の看板料理のひとつとして親しまれているという。
どう作るのか
クジラの赤身肉は5ミリほどの厚さに切り、しょうゆやみりん、砂糖、しょうが汁を合わせた調味料に30分ほど漬けて下味をつける。汁気をよく切ってから片栗粉を薄くまぶし、170度ほどに熱した油で3分ほどこんがりと揚げる。下味をしっかり効かせてから薄く粉をまとわせることで、外はかりっと、中はしっとりとした食感に仕上がるという。
なぜこの形になったのか
長門は古くから捕鯨で栄えた土地で、下関も江戸時代には捕鯨に関わる資金や物資の流通拠点としての役割を担ってきたと伝わる。海上交易が盛んだったこの地域ではクジラ肉が日常的に手に入り、消費地としての食文化が根づいたとみられる。山陰地方には節分に大きなものを食べる風習もあり、縁起を担いでクジラを口にする機会と結びついてきたという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ山口県
- チキンチキンごぼう一口大の鶏の唐揚げと素揚げごぼうを甘辛いたれで絡める学校給食発の一皿。1995年ごろ、家庭のレシピを募って栄養教諭が考案したとされ、口ずさみやすい名前とともに県民食として広まったと伝わる。
- ちしゃなます下関の伝統野菜「かきちしゃ」をちぎり、酢みそやほぐした焼き魚、しらすであえる料理。関ヶ原の戦い後、困窮した毛利の人々が考案したと伝わり、「ちしゃもみ」の名でも親しまれている。
- 長州黒かしわ山口・島根両県原産で国の天然記念物とされる黒柏鶏の血を生かして山口県の試験場が開発した地鶏をもとに、養鶏場が仕上げて名付けたとされる。80〜100日ほど平飼いで育てられるという。
- ふぐの唐揚げしょうゆや酒で下味をつけたふぐを片栗粉で揚げる下関・萩の家庭料理。刺身や鍋には高級なトラフグが使われる一方、唐揚げには安価なシロサバフグが使われることが多いと伝わる。
- ふく刺し透けるほど薄く切ったふぐの刺身を菊の花のように盛り付ける下関の一皿。福を呼ぶ意味で「ふぐ」を「ふく」と呼び、ポン酢と薬味で食す。明治21年、下関でのみふぐ食が解禁されたのが始まりと伝わる。
- ごぼう巻きかまぼこ作りで残るエソの皮をごぼうに巻きつけ、たれにつけて焼く萩の一品。焼き抜きかまぼこの高級魚エソを使うため、水産加工会社がかまぼこと一緒に作ることが多く、祭りや花見の弁当に欠かせないと伝わる。