甘味
かしゃもち
Kasha Mochi
よもぎとさつまいも、黒糖を練った餅を、殺菌効果があるとされるクマタケランの葉で包んで蒸す奄美地域の菓子。葉の芳香が餅に移り、身近な素材だけでつくる先人の知恵が詰まっている。
- 発祥: 鹿児島県
- 東京から南西へ約1260km
鹿児島県
何でできているか
すりつぶしたよもぎとさつまいもに黒糖、もち米粉を練り込み、クマタケランの葉で包んで蒸した奄美地域の餅菓子とされる。葉のほのかな芳香が餅に移り、よもぎの香りと黒糖の甘みが重なって素朴な味わいになる。「ふっつもち」「ふちもち」など地域によって呼び名も異なるといい、もちもちとした弾力のある食感によもぎのほろ苦さがほのかなアクセントを添えている。
どう作るのか
よもぎを湯がいて一晩水に浸しアクを抜き、ゆでたさつまいもとともにペースト状にする。黒糖ともち米粉、水を加えて練り、クマタケランの葉に包んで20分ほど蒸す。食べる時は葉を外し、かたくなったら蒸し直すと柔らかさが戻るという。よもぎは春にとって冷凍しておき、必要な時に使う家庭もあり、生地はよく練るほどなめらかになって蒸しあがりの口当たりも良くなるという。
なぜこの形になったのか
奄美地域ではよもぎが身近にとれ、古くから薬草として使われてきたと伝わる。“かしゃ”と呼ばれるクマタケランの葉にも殺菌・防虫の働きがあるとされ、身近な素材の効能を生かして餅を包む知恵が根づいたとされる。葉に餅がべったりとつくことから、仲の良い間柄を“餅とカシャのようだ”とたとえる言い回しも残っており、クマタケランは奄美地域のいたるところに自生し、餅だけでなくおにぎりを包むのにも使われるという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ鹿児島県
- 油ゾーメン豚肉とそうめんをだし汁ごと炒め、油と出汁を乳化させてまとわせる奄美地域の一皿。小麦を育てない奄美でそうめんが根づいた経緯は定かでないが、八月踊りなど人が集まる行事に欠かせない。
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚骨野菜大きく切った骨付き豚肉とツワブキ、大根、里芋の在来種コシャマンを大鍋で煮こむ、奄美地域の大晦日に欠かせない料理。別名ウァンフィネヤッセといい、島豚を余さず食べ尽くす知恵の一皿とされる。
- 豚汁豚肉と大根、里芋などを煮こむ味噌汁で、飼育頭数の多い鹿児島の豚と、麹が多く甘みの強い麦味噌を合わせてつくる。冬に体を温める一椀として、家庭でも給食でも広く親しまれている。
- 豚味噌ゆでた豚肉を味噌や砂糖と混ぜ合わせてつくる常備菜。奄美地域では落花生やカツオ節も加える。年に一度しめる島豚を余さず食べるため、保存のきく料理として塩漬けなどとともに生まれたと伝わる。