甘味
月の雫
Tsukino Shizuku
皮の厚い甲州ぶどうを一粒ずつ、練り上げた白い砂糖蜜にくぐらせて固める甲府の銘菓。江戸時代、和菓子店で煮詰めていた蜜にぶどうが落ちて固まったのが始まりという言い伝えがあり、江戸期の文献にも記されている。
- 発祥: 山梨県甲府市
- 東京から西へ約110km
山梨県甲府市
何でできているか
皮の厚い甲州ぶどうを一粒ずつ、丁寧に練り上げた白い砂糖蜜にくぐらせて固める。蜜の殻はかじるとほろりとほどけ、中からぶどうのみずみずしい甘酸っぱさがふわりとあふれ出すのが持ち味とされる。手間をかけて一粒ずつ丁寧に仕上げる、山梨らしい上品な口あたりの菓子として親しまれているという。名前のとおり、月明かりに濡れた雫を思わせる淡い白さも味わいのひとつとされる。
どう作るのか
砂糖と水を煮詰めて糸を引くまで加熱し、冷ましながら力いっぱい練って蜜の素をつくる。溶かした蜜を温度を丁寧に調整しながら、一粒ずつぶどうの粒にくぐらせ、冷やしてしっかりと固めるとされる。皮の厚い甲州ぶどうだからこそ、高温の蜜にくぐらせても実が崩れずに仕上がると言い伝えられている。温度をわずかに違えるだけで蜜の白さや厚みが変わるため、経験がものをいう作業とされる。
なぜこの形になったのか
甲州ぶどうは高温の蜜に耐えられるほど皮が厚く、ほどよい酸味を持つことから、この菓子に適した品種とされる。江戸時代、菓子屋で砂糖を煮詰めていたところにぶどうが落ちて固まったのが始まりという言い伝えが残る。新鮮なぶどうが手に入る収穫期に限って仕込まれてきたことも、季節の恵みを生かす菓子づくりの姿勢を物語っているとみられる。
食べに行く前に
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同じ山梨県
- あけぼの大豆の枝豆通常の1.6倍という大粒の「あけぼの大豆」を塩ゆでにする身延町曙地域の枝豆。明治から続く在来種だが機械化になじまず生産者の高齢化で希少となり、「幻の大豆」とも呼ばれてきたと伝わる。
- 甘納豆のお赤飯ささげや小豆を使わず、食紅で赤く色づけたもち米に甘納豆を混ぜ込む山梨の赤飯。ごま塩をかけると甘じょっぱく、祝いの席に欠かせないとされる。同様の甘い赤飯は遠く離れた北海道や東北の一部にもあると伝わる。
- あわびの煮貝駿河湾でとれたアワビを醤油に漬けて樽で運び、馬の体温に揺られるうちに味がしみ込んだという甲州の名産。薄切りにして肝と盛り合わせ、しそやきゅうりを添えて食べると伝わる、海のない山梨に残る海の幸。
- 小豆ほうとう太めに切ったほうとう麺を、餅の代わりに小豆の汁粉に入れて煮る山梨の行事食。北杜市須玉町若神子の三輪神社の夏祭りは「ほうとう祭り」と呼ばれるほどで、赤い小豆の色が厄除けになるとされる。
- 平打ちタンメン山梨県甲府市発祥とされる、幅広の平打ち麺を使った塩味のタンメン。もやしや豚肉、白菜などの野菜がたっぷりのり、フェットチーネのような麺の食感が持ち味とされる。県内の複数の店に受け継がれている。