ごはんもの ── 寿司ネタ
キス(皮霜仕立て)
Kisu (Kawashimo-jitate)
皮目に軽く熱を通し、冷水で締めてから開いたキス。淡白な白身に、皮のわずかな旨みと歯ざわりを添えるための仕事とされる。将軍にも献上された江戸の白身の代表格で、小骨の多さも扱いの難しさに数えられるという。
系譜
キス(皮霜仕立て)
何でできているか
キスは脂の少ない淡白な白身で、皮は薄く繊細。皮目だけに軽く熱を通してから氷水で締める「皮霜」の仕事を施すと、身は生のまま、皮のきわだけに火が入った状態になる。皮に近い部分の旨みが引き立ち、淡白さの中に奥行きが生まれるという。天ぷら種としても名高く、身の淡白さと上品な甘みは素材そのものの評価として古くから高いとされる。刺身にすると水っぽくなりやすいため、皮の仕事が味を左右するともいう。
どう作るのか
三枚におろしたキスの皮目に湯をかけるか、皮を軽く炙ってから氷水にとって身を締める。皮の厚い魚や旨みのある皮を持つ魚に用いられる仕事で、コハダなど他の光り物にも通じる考え方とされる。骨切りに近い細かな包丁も入ることがあり、小骨の多さが下処理の丁寧さを求めるという。開いた身を一尾分そのまま使うため、姿の美しさも仕上がりの評価に含まれるとされる。
なぜこの形になったのか
キスは小骨が多く皮も薄いため、皮の旨みを殺さず食べやすくする工夫として、熱を通してから締める仕事が磨かれてきたとされる。淡白な白身だからこそ、仕事の差が味に出やすいといい、地味な見た目に反して手間のかかるネタとされる。