ごはんもの
ほんこさん/報恩講料理
Honkosan
浄土真宗の年中最大行事「報恩講」に集まった人々へ、旬の野菜や豆を使った一汁三菜の精進料理をふるまう福井の食習。呉汁やおつぼなど地域ごとの一品が重なり合い、家庭の味として根づいたと伝わる。
- 発祥: 福井県
- 東京から西へ約320km
系譜
何でできているか
旬の野菜や豆腐、油揚げを主役にした一汁三菜のもてなし料理で、出汁の効いた煮物のやさしい甘辛さと、豆の滋味がじんわり広がる素朴な味わいだという。派手さはないが、集まった人々の分まで大鍋でつくられる分、家庭ごとの味の違いがよく出るといわれる。ふるさとの味として日常の食卓にも上り、給食に出す学校もあるそうだ。
どう作るのか
がんもどきや厚揚げと野菜の煮物、麩の辛し和え、呉汁、なます、おつぼなど、いくつもの精進料理を少しずつ皿に盛り合わせてつくるという。地元の女性たちが持ち寄った旬の収穫物を使い、決まった型はなく家庭や地域のレシピで仕上げるそうだ。小豆は開祖の好物だったとされ、小豆を使う一品が欠かせないといわれ、なかでも代表格が呉汁だという。
なぜこの形になったのか
浄土真宗の信仰に篤い土地柄で、開祖の命日を偲ぶ秋から新年の行事に合わせ、肉や魚を使わない精進料理が集落総出でふるまわれる形が根づいたとされる。地元で採れる野菜や豆を無駄なく生かす知恵が、一汁三菜という質素ながら滋養に富む献立を今に伝えているといい、寺だけでなく一般家庭の集まりでもつくられてきたそうだ。
食べに行く前に
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この土地の食材と料理
派生
- 長寿なますすった白ごまに味噌と厚揚げ、からしと酢を練り合わせ、千切り大根や人参、さやえんどうを和える福井の正月なます。名前の通り長生きを願う縁起物とされ、法事や報恩講の膳にも並ぶという。
- ごんざ/ごんじなます水で戻して木槌でつぶした保存食「打ち豆」と千切り大根を、醤油で煮るだけの素朴な一品。福井市東部に伝わり、報恩講の男衆の寄り合いや近所のもらい風呂のお茶請けにも出されたと伝わる。
- 呉汁一晩水に浸けた大豆をすり潰した「呉」を溶かし込む味噌汁で、報恩講に集まった人々にふるまう精進料理の一つと伝わる。ふわりとしたコクとたっぷりの大豆で滋養があり、冬の家庭料理として親しまれてきた。
- おつぼ砂糖でやわらかく煮た小豆に、薄い塩味の里芋を合わせる報恩講の精進料理。器の名でもある「おつぼ」に盛るのが決まりとされ、親鸞聖人が小豆を好んだという言い伝えから欠かせない一品と伝わる。
- 厚揚げの煮たの湯抜きして十文字に切り込みを入れた厚揚げを、だしと醤油、みりんで甘辛く煮てしょうが汁を効かせる福井の日常菜。油揚げの消費量が全国有数の土地で、報恩講のごちそうから各家庭の定番になったと伝わる。
- 麩の辛し和えもどした角麩と塩もみきゅうりを、地からしと味噌、酢で和える報恩講の精進料理。福井の地からしは油を抜かずに丸ごと粉にした独特の香りで、越前市産の赤く色づく角麩が彩りを添えると伝わる。
- 里芋のころ煮皮をこそげた里芋を下ゆでせずに醤油とみりんで煮つめ、とろみのある照りに仕上げる奥越の一品。豪雪と寒暖差が育てる里芋の産地として知られ、報恩講や祝いの席にふるまう精進料理と伝わる。