惣菜
こも豆腐
Komodofu
粗く織ったわらのむしろ「こも」に豆腐を巻いて茹で固める、倉吉市など鳥取中部の冠婚葬祭料理。魚が少なく貴重なたんぱく源だった豆腐を、共同の豆腐小屋で大量につくった名残とも伝わり、わらの香りと筋目が独特という。
- 発祥: 鳥取県倉吉市
- 東京から西へ約540km
鳥取県倉吉市
何でできているか
「こも豆腐」は、粗く織ったわらのむしろ「こも」で豆腐を包んで煮た素朴な料理で、倉吉市など中部地域に100年以上伝わる。わらの香りが豆腐に移って風味豊かになるうえ、わら一本一本の筋が表面につき独特のかたちに仕上がる。中に詰める具は人参とごぼうが定番だが、卵やかんぴょう、ほうれん草、旬の野菜を入れる家庭もあるという。
どう作るのか
豆腐の中に人参とごぼうなどの具を詰め、わらのこもで包んで煮る。砂糖や醤油を加えた煮汁でじっくり味をふくませるほか、輪切りにしてわさび醤油をつけて食べることもある。ゆで上がったばかりのものはわらの良い香りが漂い、断面についたわらの筋とともに温かみが感じられる。こもに使うわらは、はで掛けをしてきれいに天日干ししたものが重宝されるという。
なぜこの形になったのか
魚があまりとれなかった鳥取県では、豆腐が庶民の貴重なたんぱく源としてよく食べられてきたとされる。かつて村には共同の豆腐小屋があり、たくさんつくることができた豆腐の楽しみ方の一つとして「こも豆腐」が生まれたという説がある。冠婚葬祭や祭り、法事などの特別な日には欠かせない料理として受け継がれてきたが、スーパーマーケットが普及した昭和30年代以降は手間のかかる調理法として次第につくられなくなっていったと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ鳥取県
- あごちくわ鳥取でトビウオを指す「あご」のすり身を焼き上げるちくわ。表面の硬い焼き皮に包丁を入れると香ばしい音が響き、色濃く仕上がるのが普通のちくわとの違い。産卵期の春から夏が旬の初夏の味覚という。
- アカガレイの子まぶり子持ちのアカガレイを刺身にし、ゆでてほぐした卵をまぶす岩美町網代周辺の一皿。フナの子まぶりが伝わって生まれたとされ、脂ののった冬の白身にコクのある卵が絡む、祭りや正月のごちそうという。
- 小豆雑煮小豆を煮た汁に柔らかく煮た丸餅を入れる、鳥取の正月雑煮の主流。古来より赤い小豆に邪気を払う力があるとされ、元日の朝に若水と浄めた火で煮て家族で分かち合う、祝い膳の中心料理と伝わる。
- 大山どり大山の麓で種鶏の育成から処理まで一貫して手がける生産者による銘柄鶏とされる。抗生物質を用いない専用飼料で通常より長く平飼いされ、脂と旨みのバランスを狙うという。
- 大山おこわしいたけやごぼう、鶏肉などをもち米に炊き込む、大山山麓のしょうゆ味おこわ。かつて僧兵が戦勝祈願で炊いたのが始まりとも伝わり、大山寺の牛馬市で振る舞われた後、祭りやもてなしの席に受け継がれてきたという。
- 大山ルビー鳥取県中小家畜試験場が、オレイン酸を多く含む「大山赤ぶた」の雌に黒豚の雄を交配して作出した鳥取県オリジナル品種。両者の脂の質と肉の柔らかさを受け継ぐとされ、大山山麓の名を冠する。