惣菜
かすべ煮
Kasube Ni
北海道から北前船で運ばれた干しエイ「かすべ」を、水で戻して甘辛く煮込んだ料理。冷めても傷みにくく、夏の貴重なごちそうだったと伝わる。秋田市土崎地区の夏祭りでは各家庭で振る舞われる。
- 発祥: 秋田県秋田市
- 東京から北へ約450km
秋田県秋田市
何でできているか
エイの干物「干しかすべ」を甘辛くじっくり煮込んだ土崎地区の郷土料理。やわらかく煮込んだ身とコリコリとした軟骨が同時に楽しめ、冷めても味が落ちにくいという。北前船で運ばれた保存性の高い海産物を、祭りや来客のもてなしに用いる知恵が息づいた、冬から夏まで頼れる一皿だという。いまでは漁獲量が減り、希少な高級魚として扱われているという。
どう作るのか
干しかすべは水を数回替えながら1日以上かけて戻し、表面をきれいにしてから食べやすい大きさに切り、下ゆでする。調味料を加えて弱火で2時間ほど煮込み、味が染みてきたらざらめを加えてさらに煮る。仕上げにみりんを少々加えて照りを出す。手間のかかる分、家庭ごとに受け継がれた味の違いがあるという。独特の臭みを抜くために、水をしっかり替えることが肝心だという。
なぜこの形になったのか
冷蔵庫が普及していない時代、北海道から北前船で能代や土崎の港に運ばれた干しかすべは、保存のきく貴重な海産物として重宝されてきたと伝わる。冷めても傷みにくいため、魚の少ない夏の貴重なごちそうでもあり、土崎神明社祭の曳山行事にあわせて各家庭でつくられる風習が根づいたという。祭りの通称にもなるほど、地域に深く根づいた味だという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ秋田県
- 赤ずし(赤漬け)炊いたもち米を赤じそと酢で漬け込み、短く発酵させる秋田の郷土ずし。魚を使わない植物性のなれずしで、お盆に仏前へ供える行事食としても伝わる、酸味の穏やかな夏の一皿。
- あさづけ砕け米をすりつぶして煮た生地を砂糖と酢で味付けし、きゅうりやかぶ、季節の果物を混ぜた甘酸っぱいデザート。一般的な漬物の「浅漬け」とは別物で、田植えを終えた女性たちを癒やす夏の一品と伝わる。
- 江戸系ラーメン醤油ラーメンの表面に、ニラとニンニクを効かせた真っ赤な辛味噌がひとかたまり乗る。溶かしながら食べ進めるうち、あっさりした一杯が少しずつ濃く辛く変わっていく秋田市のご当地ラーメン。
- 干し餅切った餅を吊るし編みにして水に浸し、冬の寒さで凍らせては乾かす「寒締め」を経て作る保存菓子。さくさくとした歯ごたえが持ち味で、腹持ちがよく、田植えの合間の軽食として食べられてきたと伝わる。
- いものこ汁里芋の子芋や孫芋「いものこ」を、鶏肉やきのこ、山菜とともに味噌や醤油で煮た秋の汁物。横手市山内地域特有の土壌で育つ里芋は柔らかな歯ごたえが特徴で、県北のきりたんぽ鍋と対比される郷土料理と伝わる。
- 秋田の酒軟水を使い、灘の硬水とは対照的にまろやかで細やかな酒質を目指すとされる秋田の酒。雪に埋もれた蔵が保温効果を持つことを生かし、低温でじっくり発酵させる造りが伝統として続いているという。