ごはんもの
おかいさん
Okaisan
番茶を煮出した湯で米を炊く、和歌山で「茶がゆ」を親しみを込めて呼ぶ朝の一杯。山がちで米が乏しかった土地で少ない米を腹持ちよくする知恵とされ、さつまいもや梅干し、金山寺味噌をのせるなど食べ方は家庭ごとに違うという。
- 発祥: 和歌山県
- 東京から西へ約450km
和歌山県
何でできているか
「おかいさん」は米と番茶(またはほうじ茶)でつくる茶がゆで、和歌山県内では親しみを込めてこう呼ばれている。ふっくらと炊いた米に茶の香ばしさとほのかな渋みが溶け込み、さらりとした喉ごしに仕上がる。忙しい時期にはさつまいもや里芋を加えて腹持ちを良くし、地域によってはそら豆やうすいえんどうを入れた「豆茶がゆ」もつくられる。仕上げに塩をひとつまみ加えるだけの、飾らない味つけが特徴となっている。
どう作るのか
鍋に湯を沸かし、茶袋に入れた番茶を色よく煮出してから茶袋を取り出す。そこへ洗った米を加え、強火で炊き上げながら木のしゃもじで底からすくうように混ぜる。米がふっくらとふくらんだところで火を止め、好みで塩をひとつまみ加える。地域や家庭によって茶の煮出し方や具の有無が異なり、何も入れない「坊主茶がゆ」から、餅や団子を加えるものまでバリエーションが豊かに受け継がれている。
なぜこの形になったのか
「木の国」とも呼ばれるほど山がちな和歌山県は稲作に適した平地が少なく、米は貴重な食材だったとされる。そこで少ない米でも満腹感を得られるよう、かさを増やす工夫として茶がゆが広まったと伝わる。とくに平地の乏しい県南部では一日に何度も食べる日常食だったとされ、印南地方の里唄にも芋入りの茶がゆを取り合う様子が歌われているという。稲作の乏しさを補う知恵が、今も日々の食卓に息づいている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ和歌山県
- ぼうり皮をむかない里芋の親芋を二日がかりで煮込む、田辺市大塔村鮎川に伝わる正月の一皿。護良親王を助けなかった非礼を600年悔い、餅つきをやめて代わりに食べ続けたとの言い伝えが残っているという。
- ごま豆腐生のごまの皮を除いてすり潰し、高野山の水と吉野葛で練り上げて炊く精進料理の一つ。肉や魚を断つ修行僧のたんぱく源として生まれたと伝わり、今では高野山の土産や和食の一品として広く親しまれている。
- ゴンバチの油炒め正式にはイタドリという山菜「ごんばち」を、湯通しして皮をむいてから油でさっと炒める春の一品。折ると軽快な音が鳴るほど太くよく伸びた茎を使い、コリコリとした歯ごたえとほのかな酸味が持ち味だという。
- はたごんぼずし橋本市西畑地区の急斜面の赤土で育つ、太くて丸みのある「はたごんぼ」を輪切りにし、中心をくり抜いて酢飯を詰める。一時は栽培が途絶えかけたが、地元組合が2013年に約70年ぶりに復活させたという。
- いがみの煮付け県南部でブダイと呼ばれる磯魚「イガミ」を丸ごと甘辛く煮付ける一皿。冬に岩場の海藻を食べて臭みが抜けて美味になることから、田辺市周辺では正月に鯛の代わりに尾頭付きで供える習慣が伝わるという。
- いのこ餅うるち米ともち米に里芋を炊き込んでつぶし丸めた餅に、塩を効かせた小豆あんをまとわせる。旧暦10月の亥の日、実りに感謝して田の神に供える行事食とされ、県南部の一部では秋祭りでもつくられているという。