ごはんもの
なすの花ずし
Nasu no Hanazushi
輪切りにしたなすの中に、餅米と菊の花、赤とうがらしを重ねて漬け込む正月の漬物。なすの紫、菊の黄、唐辛子の赤が映える色合いから「秋田の漬物の芸術品」と称され、横手市で受け継がれてきたと伝わる。
- 発祥: 秋田県横手市
- 東京から北へ約410km
秋田県横手市
何でできているか
輪切りにした大ぶりのなすに、餅米と菊の花、赤とうがらしを重ねて漬け込んだ横手市の正月漬物。なすの紫、菊の黄、とうがらしの赤が鮮やかに重なり、漬物とは思えない華やかな見た目を持つという。餅米の麹の甘みとなすの塩気、菊のほのかな香りが層になって、一口ごとに違う味わいが楽しめるという。秋田の漬物の中でも、ひときわ見た目が美しい一品と伝わる。
どう作るのか
餅米を炊いて冷まし、砂糖と塩を混ぜたのちに酒を加える。みょうばんをまぶしたなすを桶に並べ、餅米をかけて菊と赤とうがらしを重ね、笹の葉で覆う工程を繰り返して3〜4日ねかせる。本来は保存食のためしっかり漬けられているが、最近は食べやすく即席で漬けるつくり方も広まっているという。地域によっては「花っこ」「なすっこ」とも呼ばれているという。
なぜこの形になったのか
雪深い期間が長い秋田では、独自の貯蔵技術が古くから発達してきたと伝わる。横手市の巾着型のなすが盛んに栽培され、収穫時期に塩蔵し、菊が咲く晩秋に漬け込んで正月に食すという流れが定着したことが、長期保存が可能な花ずしという漬物を育てた背景と考えられる。いぶりがっこと並んで、秋田の冬に欠かせない漬物のひとつという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ秋田県
- 赤ずし(赤漬け)炊いたもち米を赤じそと酢で漬け込み、短く発酵させる秋田の郷土ずし。魚を使わない植物性のなれずしで、お盆に仏前へ供える行事食としても伝わる、酸味の穏やかな夏の一皿。
- あさづけ砕け米をすりつぶして煮た生地を砂糖と酢で味付けし、きゅうりやかぶ、季節の果物を混ぜた甘酸っぱいデザート。一般的な漬物の「浅漬け」とは別物で、田植えを終えた女性たちを癒やす夏の一品と伝わる。
- 江戸系ラーメン醤油ラーメンの表面に、ニラとニンニクを効かせた真っ赤な辛味噌がひとかたまり乗る。溶かしながら食べ進めるうち、あっさりした一杯が少しずつ濃く辛く変わっていく秋田市のご当地ラーメン。
- 干し餅切った餅を吊るし編みにして水に浸し、冬の寒さで凍らせては乾かす「寒締め」を経て作る保存菓子。さくさくとした歯ごたえが持ち味で、腹持ちがよく、田植えの合間の軽食として食べられてきたと伝わる。
- いものこ汁里芋の子芋や孫芋「いものこ」を、鶏肉やきのこ、山菜とともに味噌や醤油で煮た秋の汁物。横手市山内地域特有の土壌で育つ里芋は柔らかな歯ごたえが特徴で、県北のきりたんぽ鍋と対比される郷土料理と伝わる。
- 秋田の酒軟水を使い、灘の硬水とは対照的にまろやかで細やかな酒質を目指すとされる秋田の酒。雪に埋もれた蔵が保温効果を持つことを生かし、低温でじっくり発酵させる造りが伝統として続いているという。