ごはんもの ── 丼物
カツ丼(卵とじ)
Katsudon
揚げたてのとんかつを玉ねぎと出汁で煮て卵でとじた丼。発祥には複数の説があり単一の発祥地は定まっていないが、大正期の洋食受容の中で形になったとされ、今も定番の丼として広く親しまれている。
系譜
カツ丼(卵とじ)
何でできているか
パン粉をまとわせて揚げたとんかつを、玉ねぎと一緒に甘辛い出汁で軽く煮て、溶き卵でとじる。衣はだしを吸ってふやけながらも肉の食感を残し、卵とだしが絡んだ層の下に、揚げたてのサクサク感が最後まで残る部分もある。玉ねぎの甘みが出汁全体をやわらげ、濃い味の衣と淡い白飯の間を取り持つ役割を果たし、器全体の温度を保つ蓋のような働きもする。
どう作るのか
揚げたてのとんかつを一口大に切り、出汁・醤油・みりんで煮立てた玉ねぎの上にのせ、溶き卵を回しかけて半熟に火を入れる。衣を煮汁に浸す時間が短いほど衣の食感が残り、長いほどだしが染みる。好みに応じて煮る時間を調整する店が多いとされ、卵を二度に分けて流し込み層をつくる技法を使う店もあるという。蓋をして蒸らす時間の長さも、店ごとの味を分ける要素になる。
なぜこの形になったのか
一説には、大正10年に早稲田高等学院の学生が考案したソースをかけるかつ丼が先にあり、その後同年代に大阪などで卵とじの形が現れたとされる。とんかつという西洋料理の翻案を、出汁と卵という和食の技法で丼に仕立て直した点に、洋食を丼飯に合わせようとした時代の試行錯誤が表れているとされる。単一の発祥地が定まらないまま全国に広まった点も、この丼の成り立ちを物語っている。