惣菜 ── 町中華
もやしそば
Moyashi-soba
炒めたもやしと豚肉を、醤油のコクのある餡にして麺にのせた町中華の一杯。東京・谷中の「一寸亭」の看板メニューが知られ、鶏ガラと野菜、豚骨のスープに餡のとろみとごま油が重なる。
系譜
もやしそばサンマーメン
何でできているか
もやしと豚肉だけを具にして、艶のあるとろみの餡にしたものが麺の上に載る。もやしのシャキシャキとした歯ごたえが残り、醤油のコクのある餡に、ごま油のほのかな香りが重なる。スープは鶏ガラと野菜、豚骨のシンプルなもので、麺は中細麺が使われる店がある。餡と一緒に口に入れるもやしの甘みは、肉の旨みに寄り添い、素朴ながら飽きのこない味わいになる。
どう作るのか
中華鍋で豚肉を炒め、たっぷりのもやしを加えてから調味料を入れ、とろみをつけて餡に仕上げる。それを、スープを張った丼の麺の上にあける。具を増やさず、もやしと豚肉の二つに絞ることで、餡の味と香りがはっきりと立つ。炒めたての熱い餡が麺とスープを覆い、冷めにくい。餡の味つけは醤油を基本に、店ごとに鶏ガラや野菜の旨みを重ねて整えるため、同じ名前でも味に違いがある。
なぜこの形になったのか
もやしそばは、町中華の代表的なメニューのひとつとして知られる。東京・谷中の「一寸亭」では看板の一杯として長く親しまれてきた。安価で量のあるもやしと豚肉を炒めて餡にし、麺にのせるという形は、中国料理を日本の街の食堂向けに組み替える町中華の発想と重なる。発祥の店や土地は、出典で確かめられていない。この発想は、安価な食材で満腹を目指す食堂らしい工夫とも読める。